トランプ疑惑の火消しのための協力体制か、5月19日のドル円為替

2017年5月19日 10:44

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 5月18日19:00(すべて日本時間)ごろに1ドル110円24銭の最安値をつけて以降は徐々にドルが戻しはじめ、1ドル111円台までドル高に転じている。為替相場の変動に大きな影響を与えているのはやはりトランプ大統領である。しかしアメリカ経済の好調さもリスクオフの後押しをしているのは間違いない。

 18日21:30に発表された経済指標はアメリカ経済の好調さを物語っていた。新規失業保険申請件数は23.2万件と事前予想の24.0万件、前回の23.6万件を下回った。失業保険継続受給者も189.8万件と事前予想の195万件、前回の192万件を下回っている。5月フィラデルフィア連銀製造業景況指数は38.8と事前予想の18.5や4月の22.0を大きく上回っている。これらはドル買いの材料となり、ドルの持ち直しに一役買った。

 問題はトランプ大統領のロシアへの機密情報漏えい問題である。

 コミー前FBI長官は証言ビデオで、捜査を終了させるような政治的な圧力はなかったと発言。トランプ政権への警戒感はやや薄らいだものの、ロシアのサイバー攻撃に加担したかどうかの疑惑も解決していない。特別捜査官としてロバート・モラー元FBI長官が任命を受け、解明への本格的な捜査はこれからになる。トランプ大統領は「史上最大の魔女狩り」とのコメントも発表しているが、議会とトランプ大統領の足並みがそろわない限り大規模税制改革もヘルスケア修正法案も先には進まないだろう。6月の利上げには支障はないとの見方も強くなっているが、ドルの下支えが弱まっているのは確かなようだ。

 19日0:20ごろにはムニューシン財務長官が「超長期債の検討」について再度念押しした。0:48ごろにはライアン下院議長が「2017年内での税制改革実現」を明言した。2:18ごろにはメスター・クリーブランド連銀総裁が「インフレ率が年内に2%も目標を達成する予想である」こと、「追加利上げの必要性」に触れている。リスクオフのドル買い材料も揃ってはいるのだ。

 上がり下がりが大きくなっているドル円の為替相場だが、今後どのような変動をしていくのか、やはり世界の注目はトランプ大統領に集まっている。(記事:ろひもと理穂・記事一覧を見る

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