「ゼクシィ」の新CMが話題、『イン・ハー・シューズ』で考える結婚の価値観

2017年5月13日 22:19

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多くの共感を呼んだCMに出演する佐久間由衣。結婚だけでなく生き方などの価値観にも一石を投じる形になったように感じる(c)リクルート

多くの共感を呼んだCMに出演する佐久間由衣。結婚だけでなく生き方などの価値観にも一石を投じる形になったように感じる(c)リクルート[写真拡大]

■「ゼクシィ」の新CMがSNSを中心に話題

 「結婚しなくても幸せになれるこの時代に、私は、あなたと結婚したいのです」のキャッチコピーと共に、結婚情報誌「ゼクシィ」が新しいCMを放送している。一見すると雑誌の存在自体を否定するようなキャッチだが、続々と共感する声が上がってきている。

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■「結婚だけがすべてじゃない」に共感の声

 「ゼクシィ」と言えば国内でも結婚情報誌として一度は名前を聞いたことがあるだろう。その「ゼクシィ」が新しい朝ドラの主演にも抜擢された佐久間由衣を起用し、新CMを放送している。

 男性と共に佐久間が風船で浮かび上がり、「結婚しなくても幸せになれるこの時代に、私は、あなたと結婚したいのです」というキャッチが流れるのが主な内容。このCMには女性を中心に共感を呼び、続々と「結婚したくなった」という声が出ているようだ。

 現代ではすっかりと結婚の価値観が変わり、女性はすでに「結婚=幸せ」とは考えない時代となっているようだ。それでもあえて結婚するのは、本CMが伝えるように「それでも一緒にいたい」という人間の本質である。見事に女性の声をすくい上げると同時に、結婚の本来の趣旨を打ち出しているなと思わされる。

■『イン・ハー・シューズ』のような時代が日本にも到来

 「ゼクシィ」のCMがヒットしたり、2016年に話題沸騰となった『逃げるは恥だが役に立つ』の流行は、やはり女性の社会進出を如実に語っているだろう。こうした流れを見ると、1970年から1980年代のアメリカの様子を思い出し、さらには『イン・ハー・シューズ』が頭をよぎってしまう。

 『イン・ハー・シューズ』はキャメロン・ディアスとトニ・コレットが姉妹役を務めた映画。キャメロンは見た目の美しさを持っているが読字障害を持つ女性。その一方でトニは見た目はイマイチだが、弁護士として成功している女性である。まるで鏡映しのような姉妹が、それぞれの幸せを求める姿が中心となっている映画だ。

 この映画がおもしろいのは、やはり「結婚」をゴールに設定していない点。どちらも結婚に向かって物語を進めるのだが、幸せを結婚には求めていないのだ。トニは見た目のコンプレックスを解消して自尊心を獲得し、キャメロンも文字が読めない障害をクリアしていく。お互いに自分の中にある欠陥部分を人を関わり合いながら見つめ直し、人として大きく成長した上で結婚を決めることになる。

 いつの時代からか「結婚」がゴールのように考えられていたが、結婚は通過点ともよく言われる。「ゼクシィ」の編集長である平山さんも「一緒に生きていきたいという決意を大切に、幸せを積み重ねてください」と述べており、結婚した後の生活を考えられる人と一緒になるのが大事だと思わされる。

 結婚だけが幸せではない。しかし、人間1人では生きていけない。このことを「ゼクシィ」のCMや『イン・ハー・シューズ』から見つめ直したい。(記事:藤田竜一・記事一覧を見る

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