ジャパンインベストメントアドバイザーは目先的に売られ過ぎ感、17年12月期大幅増収増益・増配予想を見直し

2017年4月14日 09:15

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 ジャパンインベストメントアドバイザー(JIA)<7172>(東マ)は金融ソリューション事業を展開している。オペレーティング・リース事業が牽引し、パーツアウト・コンバージョン事業も寄与して17年12月期大幅増収増益・増配予想である。積極的な事業領域拡大戦略で中期成長も期待される。株価は3月の上場来高値から反落し、さらに地合い悪化の影響で水準を切り下げたが、目先的に売られ過ぎ感を強めている。17年12月期大幅増収増益・増配予想や中期成長力を見直して上値を試す展開が期待される。

■オペレーティング・リース主力に金融ソリューションを展開

 オペレーティング・リース事業を主力として、環境エネルギーファンド事業、M&Aアドバイザリー事業などの金融ソリューション事業を展開している。さらに航空機を対象としたパーツアウト・コンバージョン事業など、中期成長に向けた事業領域拡大戦略を推進している。

 16年12月期の製品・サービス別売上高構成比はオペレーティング・リース事業59%、環境エネルギー事業8%、パーツアウト・コンバージョン事業27%、メディア関連・IR支援事業6%、その他事業1%である。また16年12月期の売上高営業利益率41.7%、ROE32.1%という高収益構造が特徴である。

 オペレーティング・リース事業は、子会社JPリースプロダクツ&サービシイズ(JLPS)が第二種金融商品取引業登録業者として、航空機や海上輸送用コンテナを主対象に展開している。15年10月には船舶を対象とした日本型オペレーティング・リース第1号案件の組成を完了し、対象物件として航空機・船舶・海上輸送用コンテナのすべての領域をカバーしている。

 また米CAI社との合弁会社CAIJ社(コンテナ・オペレーティング・リース事業)を16年4月100%子会社化し、米CAI社およびCAIJ社とコンテナ案件の紹介・供給等を目的として業務提携した。なお業務多角化に向けて3月30日付でCAIJ社の社名をフィンスパイアに変更した。

■中期成長に向けて事業領域を拡大

 中期成長に向けてM&Aも積極活用しながら事業領域拡大戦略を推進している。

 環境関連事業では、15年5月電力備蓄用バナジウムレドックスフロー電池(VRFB)のLEシステムと資本業務提携、15年9月中央アジアや南アジアで再生可能エネルギーや省エネルギー事業を展開しているあすかグリーンインベストメント(AGI)と資本業務提携、15年10月汚泥削減システムのフジ・エコ・テクノス(FET社)に出資した。

 パーツアウト・コンバージョン事業は、15年11月ルクセンブルクに子会社JIAルクセンブルクを設立、JIAルクセンブルクが仏Vallair社と資本・業務提携して、航空機を対象とするパーツアウト・コンバージョン事業に参入した。パーツアウト事業は退役航空機を解体して各部品を世界の整備会社・リース会社・航空会社等へ販売する事業、コンバージョン事業は機齢の経った旅客機を輸送機等に改造してリサイクルする事業である。なお16年12月優先株を普通株に転換して仏Vallair社を持分法適用関連会社化し、17年3月には3回目の追加出資を完了して出資比率が30%となった。

 プライベート・エクイティ(PE)投資事業やIR(投資家向け広報)支援事業にも進出している。15年8月100%出資のPEファンドJPE第1号を設立し、第1号案件として日本マンパワーのグループ会社で人材派遣・紹介事業を展開するNMPスペシャリストの全株式を取得した。同社は3年後の上場を目指す。PEファンドは当面3億円を上限として当社100%出資で運営するが、将来的には投資家からの資金も受け入れる予定だ。

 15年9月日本証券新聞と日本証券新聞リサーチを子会社化してメディア関連事業およびIR支援事業に進出した。またIR支援サービスの日本証券新聞リサーチと人材派遣・紹介事業のNMPスペシャリストが連携して、人材難に悩む企業に対して中小企業診断士や社外取締役などを紹介・マッチングする事業なども展開する。

 16年1月M&Aアドバイザリー事業の子会社ジャパンM&Aアドバイザー(JMA)を設立した。またIPOコンサルティング事業を開始し、第1弾としてIT技術を駆使した投資コンサルティング事業会社とコンサルティング契約を締結した。金融とITの融合に寄与するフィンテック企業を中心にIPOコンサルティング事業の拡大を目指し、PE事業においてもITを駆使した新たな金融サービスを提供する企業・技術への投資活動を積極化させる方針だ。

 16年12月にはインタートレード<3747>の株式取得を発表した。同社との協業の可能性を視野に入れながら純投資目的で取得した。本業の金融ソリューション事業とのシナジーが見込まれるIT・サービス分野、特に金融とITとの融合に寄与するFintechを駆使した新たな金融サービスの拡大を目指すとしている。

■手数料収入が収益柱、四半期業績は販売計上(完売)時期で変動する特性

 オペレーティング・リース事業および環境エネルギーファンド事業の組成・出資金販売・管理などに伴う手数料収入が収益柱である。会計上の売上高認識基準は、顧客(投資家)から案件ごとに募集している出資金の販売がすべて終了した時点において出資金に含まれる手数料を売上高として計上するため、四半期業績は販売計上(完売)時期によって変動しやすい特性がある。

 四半期別業績推移を見ると、15年12月期の売上高は第1四半期4億30百万円、第2四半期3億50百万円、第3四半期10億45百万円、第4四半期9億80百万円、営業利益は1億85百万円、94百万円、5億26百万円、3億50百万円だった。16年12月期の売上高は9億92百万円、13億61百万円、7億27百万円、28億33百万円、営業利益は3億40百万円、2億88百万円、17百万円の赤字、18億54百万円だった。

 16年12月期連結業績は売上高が15年12月期比2.1倍の59億13百万円、営業利益が同2.1倍の24億65百万円、経常利益が同76.8%増の22億40百万円、純利益が同81.8%増の13億90百万円だった。主力のオペレーティング・リース事業が牽引し、パーツアウト・コンバージョン事業も寄与して大幅増収増益だった。

 事業別売上高はオペレーティング・リース事業が同95.9%増の34億78百万円、環境エネルギー事業が同51.7%増の4億52百万円、パーツアウト・コンバージョン事業が同2.8倍の16億03百万円、メディア関連・IR支援事業が同2.9倍の3億32百万円、その他事業が同17.9%増の46百万円だった。

 事業組成金額は同2.1倍の783億73百万円(航空機20件・627億58百万円、船舶3件・81億92百万円、コンテナ3件・24億65百万円、太陽光発電7件・49億61百万円)で、出資金販売額(完売)は同14.3%増の245億10百万円(航空機10件・145億58百万円、船舶2件・17億29百万円、コンテナ4件・42億08百万円、太陽光発電7件・40億15百万円)だった。なお期末在庫は航空機11件・99億89百万円、船舶1件・10億26百万円である。

 売上総利益は同2.0倍増だったが、売上総利益率は63.5%で同2.8ポイント低下した。パーツアウト・コンバージョン事業の大幅伸長に伴って売上原価が増加した。販管費は同83.3%増加したが、販管費比率は21.8%で同3.3ポイント低下した。業容拡大に伴って人員が増加した。営業外収益では前々期計上の匿名組合投資利益1億16百万円が一巡し、営業外費用では支払利息、支払手数料、為替差損が増加した。

 売上高営業利益率は41.7%で同0.6ポイント上昇、ROEは32.1%で同14.2ポイント低下、自己資本比率は23.9%で同3.4ポイント上昇した。配当は年間10円(第2四半期末4円、期末6円)で配当性向は8.5%だった。

■17年12月期も大幅増収増益・増配予想

 今期(17年12月期)の連結業績予想(2月8日公表)は売上高が前期(16年12月期)比30.2%増の77億円、営業利益が同50.1%増の37億円、経常利益が同51.8%増の34億円、そして純利益が同51.1%増の21億円としている。配当予想は同5円増配の年間15円(第2四半期末6円、期末9円)で、予想配当性向は8.7%となる。

 引き続き主力のオペレーティング・リース事業が牽引し、パーツアウト・コンバージョン事業も寄与して大幅増収増益予想、そして大幅増配予想である。

 なおオペレーティング・リース事業は、レッシーからの引き合いが旺盛だが、船舶およびコンテナに関しては市況軟化に伴ってリスクが顕在化しているため、従来に増して慎重に対応する方針としている。環境エネルギー事業は、17年3月末に税制優遇措置の期限を迎えるため、従来の利益平準型商品から利回り追求型商品への移行を図っている。大口案件を中心に引き合いが高水準であり、一層の成長が期待できるとしている。パーツアウト・コンバージョン事業は高い収益性が期待できる事業であり、一層の業容拡大を目指すとしている。

 利益配分については、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、株主への利益還元を重視し、安定した配当を継続していくことを基本方針としている。中期的には連結配当性向は概ね20%以上を目指すとしている。

■純利益ベースで毎期50%以上の成長を目指す

 中長期成長戦略として、主力のオペレーティング・リース事業に、環境エネルギー事業およびパーツアウト・コンバージョン事業を加えて、収益の3本柱の確立を推進する。

さらにM&Aアドバイザリー事業、PE投資事業、不動産投資事業、事業承継アドバイザリー事業、ウェルス・マネジメント事業、中小企業に対する人材紹介事業、メディア関連・IR支援関連事業、IPOコンサルティング事業、AIを駆使した新たな金融サービス(フィッテンク)など、金融ソリューション事業を中心にM&Aも積極活用して事業領域拡大戦略を加速する。

 そして純利益ベースで毎期50%以上の成長を目指すとしている。中期的にも収益拡大基調が期待される。

■株主優待制度は毎年12月末に実施

 株主優待制度は、毎年12月末日時点で1単元(100株)以上保有株主に対して、保有株式数および継続保有期間に応じてクオカードおよび日本証券新聞デジタル版購読券を進呈する。16年12月には株主優待制度の一部拡充を発表した。

■株価は目先的に売られ過ぎ感、中期成長力を見直して上値試す

 株価の動きを見ると、3月13日の上場来高値4960円から利益確定売りで反落し、さらに地合い悪化の影響で水準を切り下げ、4月12日に3500円まで調整する場面があった。ただし売られ過ぎ感を強めている。

 4月13日の終値3720円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS172円26銭で算出)は21~22倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間15円で算出)は0.4%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS552円88銭で算出)は6.7倍近辺である。時価総額は約458億円である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が10%を超えて目先的に売られ過ぎ感を強めている。また週足チャートで見ると26週移動平均線近辺で下げ渋りサポートラインを確認した形だ。17年12月期大幅増収増益・増配予想や中期成長力を見直して上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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