短期記憶や長期記憶の形成過程が明らかに

2017年4月12日 21:23

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記事提供元:スラド

あるAnonymous Coward曰く、 理化学研究所が、海馬から大脳皮質に記憶が転送される新しい仕組みを発見したと発表した(理研の発表読売新聞マイナビ)。

 記憶には短期記憶と長期記憶があり、まず脳は物事を短期記憶として記憶し、その一部が長期記憶に移し替えられるという仕組みになっていると考えられていた。短期記憶は海馬に、長期記憶は大脳皮質に記録されるという違いもあるが、どのようにして短期記憶が長期記憶に転送されるのかは分かっていなかった。

 研究チームではマウスを使った実験で脳内の神経細胞がどのように働いているかを観察したという。その結果、物事を記憶する記憶痕跡(エングラム)はまず海馬に形成され、その後大脳皮質の前頭全皮質にも形成されることが確認されたという。ただし前頭全皮質のエングラム細胞は最初はすぐには使われない「サイレント」状態で、その後時間とともにアクティブになり、逆に海馬のエングラム細胞は最初はアクティブで、その後時間とともにサイレントになるいう。また、扁桃体に形成されるエングラム細胞は常にアクティブな状態になっているが、時間が経つにつれて想起のための情報伝達ルートが変化することも分かったという。

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