路面からEV車輪内モーターへの走行中ワイヤレス給電に成功

2017年4月6日 08:45

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開発されたワイヤレスIWM2号機。(東京大学発表資料より)

開発されたワイヤレスIWM2号機。(東京大学発表資料より)[写真拡大]

 電気自動車(EV)の大きなシステム的限界の一つは、バッテリー重量に対するエネルギー保持量の比率的限界、すなわち、航続距離の短さである。それを覆すためのインフラ面からの対策として検討されている技術の一つに「走行中給電」があるが、東京大学などの研究グループが、走行中のEVのホイール内のモーターへの走行中の給電に、世界で初めて成功したという。

 走行中給電というのは、その名の通り、走っているEVに、走ったまま充電を行う、という仕組みのことだ。実験的なレベルのものはいくつか実現しているとはいえ、大雑把にいえばまだ、技術思想のレベルからして試行錯誤の段階である。

 既存の走行中給電システムは、おおむね、車体内のコイルに、路面に設置されたコイルから給電を行う、というものが多い。しかし今回開発された技術は、路面のコイルから、車体のモーターにワイヤレスで直接給電を行う、というものである。

 ちなみにこの研究グループは、もともと、ワイヤレス給電の研究をしていた。それは走行中給電ではなく、車体内のバッテリーから、ホイールのモーターへワイヤレスで給電を行う、というシステムの研究である。なぜワイヤレスにするのがいいかというと、ワイヤレスであれば最初から、断線して走行不能に陥るという心配がいらないからだ。そして、その研究のさらなる発展系として、路面からホイールへのワイヤレス給電の研究を始めた、というわけである。

 このワイヤレス走行中給電システムには大きく2つのメリットがある。まず、駆動装置の重量を軽減し、EV全体の車体重量を削減できる。次に、バッテリーを介在させる必要がないため、エネルギーの伝達ロスがない。

 研究グループは、この方式こそ未来の電気自動車社会のスタンダードとなるものだ、と述べている。いずれにせよ「全面的な普及」まで考えるとかなり遠い先の話になるだろうとは思われるが、夢のある話ではある。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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