ガルパンから歴史を学ぼう⑤プラウダ戦で桃ちゃんはなぜ「Nuts!」と叫んだか?

2017年3月21日 08:22

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ガルパンから歴史を学ぼう⑤プラウダ戦で桃ちゃんはなぜ「Nuts!」と叫んだか?© GIRLS und PANZER Film Projekt © GIRLS und PANZER Projekt

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 皆様ご無沙汰しております。金剛でございます。寒暖の差が激しい今日この頃ですが皆様いかがお過ごしでしょうか。

 現在、艦娘シリーズ外伝と並行してミリオタネタを書かせていただいております私、金剛でございますが、今回は久しぶりにガルパンネタを書かせていただきます。

 そういえば、最近言わずと知れた、ガルパンの聖地大洗で、別メディアで報じられた大きな話題がありましたね。あのガルパンギャラリーで色々あったとか。

 筆者もあのガルパンギャラリーには行ったことがありましたが、初めて行った時の感動は今でも忘れることができません。その場所がいろいろあったという事ですが、いずれまた、聖地大洗については、コラムを書きたいと思いますので、期待しないで待っていただければと思います(笑)

ガルパン

画像引用元:© GIRLS und PANZER Film Projekt © GIRLS und PANZER Projekt

 さてさて話は戻りまして、今回のネタは、ガルパンTVシリーズの第8話「プラウダ戦です!」より抜粋します。

 準決勝に進んだ大洗女子は、前年の優勝校プラウダ高と激突しますが、この試合で大洗女子は包囲されプラウダ高の生徒に降伏勧告を通達されるシーンがありますね。絶体絶命の大洗面々の中、この時桃ちゃんが

 「なんだと!Nuts!」

 と投げ捨てたシーンを覚えていますでしょうか?

 まあ、場面から見て、意味合い的に「F○ck!!」と同じ意味なんだろうな~と思われる方が多いのではないかと思われます。しかしなぜ桃ちゃんは「Fu○k」や「ク○くらえ!」とか言わずに「Nuts」と叫んだのでしょうか?

 実はこの元ネタは、1944年12月に開始された西部戦線における、ドイツ軍の最後の大攻勢作戦「ラインの守り」作戦が元ネタになっています。

 この作戦はいわゆる「バルジ大作戦」という名タイトルで多くの映画が生まれていますが、こちらの名前の方がピンと来る方もいるかもしれません。

 今回は、桃ちゃんの「Nuts!」の由来と、ドイツ軍西部戦線大攻勢作戦「ラインの守り」作戦を簡単にご紹介します

■敗北を続けるドイツ軍の賭け「ラインの守り」作戦とは

 

 さて、このラインの守り作戦を語る前に、当時のドイツ軍の背景と第二次大戦の情勢を軽く説明します。

 1942年まで、ドイツはイギリス以外の西ヨーロッパ(フランス、ベネルクス三国、北欧等)を支配下に入れ、ソ連侵攻作戦後も戦場での主導権は、ややドイツ軍側にありました。しかし1943年になると、「ティタデレ作戦」いわゆる、史上最大の戦車戦「クルスク戦車戦」を契機に、ドイツ軍は一気に守勢になります。

 この頃からソ連軍は連続攻勢を仕掛け、兵力で圧倒するソ連軍を、ドイツ軍は戦術と作戦指揮で撃退し、何とか戦線を維持していましたが、同年、ロンメル率いる「ドイツ・アフリカ軍団」が北アフリカ戦線で米英連合軍に降伏し、連合軍はシチリア島に上陸、その後イタリア本土に上陸します。

 これにより同盟国イタリアが離脱すると、翌1944年には「D-DAY」、つまり「ノルマンディー上陸作戦」が開始され、これにより、ドイツ軍は、西は米英連合軍、東はソ連赤軍といわゆる2正面戦闘に陥り、さらに、イタリア方面に展開する米英連合軍にも兵力を割かなくてはならず、計3方面から攻め込まれ、兵力を集中運用できなくなります。

 米英連合軍はドイツ軍とノルマンディー戦線で死闘を繰り広げ、まさに地獄のノルマンディーとなりました。このノルマンディー戦では、ドイツの戦車エース「ミヒャエル・ヴィントマン」の有名な戦いである「ヴィレル・ボカージュ」や両軍にとって死闘となった「ファレーズ包囲戦」など、まさに激闘の連続でした。

 ちなみに、ヴィントマンが戦死するのもこの西部戦線で、米英連合軍は、強力なドイツ戦車隊を航空攻撃によってほぼ無力化し、ドイツ戦車は、その損害のほとんどが、航空攻撃によるものだったそうです。

 西部戦線では、その後パリが解放され、そして前回お話しした、モントゴメリー将軍の大失態とされた、史上最大の空挺作戦「マーケット・ガーデン作戦」が繰り広げられていましたが、その後、西部戦線は連合軍の伸びきった補給線の影響で、ほとんど戦闘が行われない時期が続きました。

 一方、同時期の1944年の東部戦線では、まさにドイツ軍にとっては地獄の連続でした。

 1944年になると、この年ドイツ軍の2大撤退戦である、「チェルカッシー包囲戦」「カメネツ=ポドリスキー包囲戦」そして、この2大撤退戦に成功する代償として、「ドイツの頭脳」と呼ばれた、名将「エーリッヒ・フォン・マインシュタイン元帥」が、ヒトラーにより前線から予備役に更迭されます。

 この、「ヒトラーに唯一、物申すことができた将軍である」マインシュタイン元帥の更迭は、一気にドイツ軍を敗北へと進ませます。

 この辺も、今後お話ししたいと思いますが、この2度の大撤退戦を成功させたドイツ軍でしたが、この後すぐにドイツ敗北が決定的となった、ソ連軍の総攻撃作戦「バグラチオン作戦」が1944年6月22日(くしくもこの日は、3年前にドイツ軍のソ連侵攻作戦バルバロッサが開始された同じ日)に発動され、各地ドイツ軍は壊滅し、ドイツ軍の主力であった中央軍集団では戦死者約40万人を出し、ほぼ壊滅します。一方のソ連軍は破竹の勢いで、一気にポーランド前面まで進撃します。

 その折、ドイツ国内では、ヒトラー暗殺未遂事件が起き、さらに、ポーランドでは、ポーランド国内軍による「ワルシャワ蜂起」と凄惨な戦いが続きました。

 東部戦線では、すでにソ連軍がドイツ本土に迫り、もはやドイツの敗北が決定的となる中で、ヒトラーは米英連合軍の「マーケット・ガーデン作戦」が発動される少し前くらいに、ある計画を立てていました。それは、西部戦線における米英連合軍の戦線を突破し、オランダ方面に展開するカナダ軍、英軍、米軍を一気に包囲するという、まさに、1940年のドイツ軍最盛期に行われた「西方電撃戦」の再来を夢見た作戦でした。

 各地で戦線が崩壊し、なおかつ人的資源がすでに枯渇し、兵力が維持できない中にあって、各将軍からは残った虎の子の部隊を本土防衛に使うべきという意見が飛び交いましたが、先ほどお話しした、ヒトラーに唯一物申せる将軍、マインシュタイン元帥が後方へ更迭された今、ヒトラーに物申す人物がいない状況でヒトラーを止められる人物はいませんでした。こうして西部戦線最後の大攻勢「ラインの守り」は発動されます。

■ドイツ軍西部戦線最後の大攻勢「ラインの守り」発動!

ガルパン

画像引用元:© GIRLS und PANZER Film Projekt © GIRLS und PANZER Projekt

 かくして、アルデンヌの森、ベルギー等前面に配備された約20万の兵力と、戦車と自走砲合わせて1800両は1944年12月16日、攻撃を開始します。

 この作戦の目標はまず、ベルギーにあるアントワープという港を占領することにありました。そして、攻撃の中心は、1940年の西方電撃戦と同じく「アルデンヌの森」でした。

 実はこの地域に展開していたアメリカ軍も、この深い森を突破してくるとは思っておらず、ここも1940年当時のフランス軍と同じ考えだったといわれており、完全に油断していました。

 また、ここに展開していた米軍はほとんどが、ドイツとの戦いで残った敗残兵と配属したばかりの新兵で構成されており、約10万の兵力を配備していました。

 しかも、攻撃当日は悪天候で、連合軍得意の航空攻撃が要請できない状態にあり、作戦当初のドイツ軍は各地で展開していたアメリカ軍を撃破、包囲しましたが、ドイツ本国にある燃料精製施設が、アメリカ軍のドイツ本国爆撃等で十分な燃料が確保できない中で作戦が発動されていたので、燃料不足が懸念されていました。

 前線では予測通り燃料不足が目立ち、アメリカ軍の燃料補給所を襲撃し、燃料を確保していましたが、この際に捕虜をとっても面倒を見る余裕のないドイツ軍は、アメリカ軍捕虜を殺害したとされる「マルメディの虐殺」などの問題行動も有名な話となっています。

 各地で壊滅するアメリカ軍部隊でしたが、アメリカ欧州派遣軍総司令のアイゼンアワー将軍の元にこの「ラインの守り」作戦の話が舞い込むと、すぐさまアイゼンアワー将軍は増援を派遣。各地で増援部隊が到着し、ドイツ軍と激しい戦車戦が繰り広げられました。

 ドイツ軍は敵の燃料を奪い、補給しながら作戦の行うという非常に不安定な状態の中、この作戦の中で最も激戦となった戦いに突入しますが、それがバストーニュの戦いでした。

 ここで、ようやくガルパンの桃ちゃんの「NUTS!」の元ネタになります。

 この「ラインの守り」作戦の要所であるバストーニュでは、1万8000名のアメリカ軍がドイツ軍によって包囲されましたが、包囲されたアメリカ軍の戦意は高く、また増援も到着しており、ドイツ軍の攻撃準備前にはすでに防衛体制が引かれていましたが、攻撃前にドイツ軍は、アメリカのバストーニュ守備隊に、降伏勧告を出します。

 そして、この守備隊の指揮を執っていた、マッコーリフ准将は、ドイツ軍の使者に対し

 「Nuts!!」

 と返します。つまりアメリカの俗語で「馬鹿野郎」という意味です(笑)

 つまり、マッコーリフ将軍は

 「とれるものなら取ってみろ!馬鹿野郎!」とドイツ軍に返したのです

 これが、ガルパンによるプラウダ戦で、降伏勧告を出したプラウダ高の使者に対して桃ちゃんが返した「Nuts!」という返事の元ネタになります。

 ドイツ軍はこの返答にすぐさま攻撃を開始。増援を得て防衛に当たるアメリカ軍、攻撃を仕掛けるドイツ軍共に大きな損害を出しましたが、ドイツ軍はなかなか攻め落とせないバストーニュを一度諦め、再び装甲師団をアントワープに向けます。しかし、その先でも増援を受けたアメリカ軍の反撃、そしてもう燃料がないドイツ戦車隊は戦わずして戦車を放棄せざる得なくなり、アントワープ進撃を諦め、ヒトラーの命により、少なくともバストーニュを攻め落とせという命令により、残った部隊によるバストーニュ攻撃が再開されました。しかし、別方面からのアメリカ軍の反撃、そして天候が晴れたことによる航空支援を受けることができるようなったアメリカ軍は、ドイツ軍を食い止め、ついにドイツ軍は作戦中止を決定。

 ドイツ軍最後の賭けは失敗に終わりました。

 この戦いを通して、アメリカ軍戦死傷者約8万人、ドイツ軍約10万人を出し、双方とも大損害を出しましたが、すでに敗戦が濃厚なドイツ軍が残った予備兵力と燃料をほぼ使ってしまった現状を見ると、かなり手痛い結果となりました。

 しかし、アメリカ軍側も当初、この年のクリスマスには戦いが終わると、かなり油断に近い感覚を持っていたとされておりましたが、戦いの後には、この戦いの損害で、後に数週間戦争の終結が遅れた、ともされており、アメリカ軍にとっても手痛い損害を被っていたのも事実です。

 ドイツ軍の敗退の理由はいくつもありますが、やはり燃料や兵站の部分での要素は大きいといわれています。事実作戦中に燃料不足で放棄された無傷の戦車や、燃料不足で停止した瞬間をアメリカ軍に撃破された例も多く、また制空権も連合軍に取られたままの状態だったことも要因として挙げられます。

 1940年の西方電撃戦では、ドイツ空軍の圧倒的制空権があったからこそ成功しているという事実もあることも、歴史が証明しています。

 さて、アニメ本編でこの「Nuts!!」と叫んだ桃ちゃんですが、TV、劇場版通じてヘタレキャラを確立しています(笑)

 しかし、その後息を吹き返した大洗女子は、プラウダの包囲を食い破って、逆転勝利に結びつけます。当初みぽりんが降伏勧告を受け入れようとするときに、桃ちゃんの「Nuts!」と生徒会チームによって廃校の事実を突きつけられ、戦意を復活させた大洗女子をみると、超ヘタレキャラとして君臨している桃ちゃんが「Nuts!」と叫んだのはナイスプレーだったとも言えますね(笑)

 でも、読者の皆様は「Nuts!」という言葉は使ってはいけませんよ~~(笑)使ったら危険ですからね~~(笑)

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(あにぶ編集部/金剛たけし)

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