最低な母親の、描かれていない部分に思いをはせる

2017年2月24日 20:29

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記事提供元:ムビコレ

 
【ついついパパ目線】『彼らが本気で編むときは、』前編
自称イクメン、子育てを通じて常識が大きく揺らぐ

 アクション、ホラーに社会派ドラマ……。どんな映画でも、ついつい“子育て”に結びつけて見てしまう自称イクメンのアラフォーライターが、話題作をパパ目線で取り上げます!

 子どもを産むと考え方や視野が大きく変わると話す母親は多いが、それは父親も同じこと。子育て真っ只中の現在、これまで正しいと思っていた常識や、ものの見方が大きく変わった。当然、映画も今までとは違う視点でみることも多くなった。今週公開を迎える荻上直子監督の最新作『彼らが本気で編むときは、』もそんな映画の一つだ。

 ・『彼らが本気で編むときは、』をママ目線で紹介した【ついついママ目線】コラムも併せてどうぞ!

 生田斗真演じるトランスジェンダーの女性リンコは、幼少期から自身の性に対して疑問を持っていた。性別は男だが、どうしても違和感がある……。そんな少年の疑問に、田中美佐子演じる母フミコは優しく寄り添い“ニセ乳”なるものを作る母性愛。

 理解ある母親のもと育ったリンコは女性として生きていくことを決心する。そしてリンコの清らかな心と優しい佇まいに桐谷健太演じるマキオは心を奪われて、二人は結婚を前提として付き合いに発展していく。

 そんな二人のもとに、トモという小学生の女の子が舞い込んでくる。トモは、ミムラ演じるヒロミの一人娘。ヒロミはマキオの姉という設定なので、マキオにとって姪っ子にあたる。

 本作のオープニングは、トモが荒れに荒れた部屋に佇んでいる場面から始まる。そこに帰ってくるヒロミ。一言「死ぬ」とつぶやくとバタンと倒れ深い眠りにつく。短いシーンだが、これだけでトモが母親からネグレクトされていることがわかる。

 そしてその描写のすぐあとに、ヒロミはトモを置いて失踪するのだ。この時点で、本作での負の部分を一手に受け持つことが確定した母親。しかも、劇中、この母親はずーっと登場せず、最後の最後で悪びれずに戻ってきて、「自分たちの子どもとして育てよう」と決心したリンコとマキオに対して、「トモ帰るよ」と言い放つ。

 完全なるヒール役だ。子を育てた経験のある親からしたら「ふざけるな! 最低だ!」という声があがうだろう。そしてこんな意見は正論であり、まっとうな感情だろう。でも一方で、ヒロミの描かれていない部分にエクスキューズを求める母親もいるのではないか……と思う(自分は父親だが……)。

 (後編「育児放棄する母親像に感情移入。自称イクメンのあふれ出る思い」に続く…

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