米国株式市場見通し:10-12月期決算発表シーズンに突入

2017年1月7日 17:02

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記事提供元:フィスコ


*17:02JST 米国株式市場見通し:10-12月期決算発表シーズンに突入
先週は、FOMC議事録で次期政権下での財政出動の拡大に伴い利上げペースの調整が必要となることが示されたが、新政権の政策や影響が不透明であることから、それほど重要視されなかった。また、雇用統計で平均時給が7年半ぶりの高水準となったが、FF金利の先物取引から算出される利上げ確率は6月と9月の年2回を予想する向きから変化していない。今週はトランプ次期大統領が指名した閣僚候補の承認に向けて公聴会の開催が予定されており、経済面よりも政治面が意識される展開となりそうだ。同氏の大統領就任を月末に控え、より具体的な政策が明確になるかに注目が集まるだろう。

昨年末、オバマ大統領はサイバー攻撃への報復としてロシアの政府関係者に対して国外退去を命じた。トランプ次期大統領は同事案に対するロシアの関与を追認しておらず、ロシアからの報復もないことから米露関係に悪化は見られないが、次期政権によるサイバー攻撃への対応を注視する必要がある。また、元旦にはトルコで再びテロが発生するなど、地政学リスクが高まっていることに注意が必要だ。

12日に予定されている航空大手のデルタ航空から10-12月期決算発表シーズンに入る。資産運用のブラックロック(13日)や大手行JPモルガン・チェース(13日)、ウェルズ・ファーゴ(13日)、バンク・オブ・アメリカ(13日)などの金融各社などの決算発表が予定されている。金融各社の決算発表では利上げを受けた今後の利益見通しに注目が集まりそうだ。決算発表シーズンに入ることで主要企業の足元の業績や見通しに注目が集まるため、株価収益率(PER)などで割安感のある銘柄の株価水準が見直されるだろう。決算以外では、8日から北米国際自動車ショーがデトロイトにて開催予定で、新たな電気自動車や自動運転技術の発表が予想される。

経済指標では、12月輸入物価指数(12日)、12月小売売上高(13日)、12月生産者物価指数(13日)などの発表が予定されている。オンライン販売の拡大で年末商戦期にあたる12月の小売売上高は予想を上回る内容が期待できそうだ。しかし、先週には百貨店のメーシーズやコールズが、年末商戦の販売実績が予想を下振れたことで通期の業績見通しを下方修正するなど、実店舗小売店の業績悪化が目立つ。今後。小売業界では統廃合が進む可能性もあり、注意が必要だ。

(Horiko Capital Management LLC)《FA》

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