免疫細胞「ミクログリア」が脳神経回路形成に繋がっていることを発見

2016年10月11日 21:36

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記事提供元:スラド

 「ミクログリア細胞」と呼ばれる免疫細胞が、脳回路の形成に重要な役割をしていることが発見された(産経新聞サイエンスポータル生理学研究所の発表)。

 ミクログリア細胞は脳内に存在するグリア細胞(神経膠細胞)の1つで、「小膠細胞」とも言われている。脳内の細胞の約10%を占めると言われており、神経組織が障害を受けた際に活性化して死んだ細胞や老廃物を除去し、その修復に関与する働きを行うことが知られていた。

 また、ミクログリア細胞は脳内の細胞が正常な状態であっても、「四方に伸ばした突起を伸縮させながら、脳内のいろいろな構造に接触している」という。今回の研究では2光子顕微鏡を使ってマウスのミクログリア細胞と神経細胞の接触状態を観察した結果、「ミクログリアが神経細胞の突起に接触すると、神経細胞の接触した箇所に、将来の新たなシナプスの元になると考えられる『フィロポディア』という構造が形成され、その後実際にシナプスへ成長していく様子が観察された」という。また、この動きは成熟後も確認されたという。

 このことから、ミクログリア細胞は脳のシナプス形成に関与していると考えられるという。また、ミクログリアを活性化させることで、脳回路の異常が原因の病気の治療や予防につながる可能性もあるという。

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