グッドデザイン賞受賞作発表。今年の注目デザインと傾向は?

2016年10月8日 21:38

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記事提供元:エコノミックニュース

2016年9月29日、日本デザイン振興会は2016年度グッドデザイン賞の受賞結果を発表した。今回の審査件数は近年で最多、前年比427件増となる4085件。その中から、国内外の76名によって結成された審査委員会による5ヶ月間に及ぶ厳正な審査を経て、1229件の受賞デザインが選出された。

毎年、様々な分野や業種、団体などから、多様なデザインが応募されているが、今年度の傾向としては、教育に関わるプログラムやサービスなどのデザインが目立った。また、防災意識の高まりを反映して、防災や災害対策をテーマとしたデザインも多く見受けられた。

 受賞デザインの中から、特に優れたデザインとして「グッドデザイン・ベスト100」が選出され、さらにその中から、株式会社ソニー・グローバルエデュケーションとソニー株式会社による、ブロックで自由なかたちをつくり、プログラミングによってさまざまな動きを与えて遊ぶロボット・プログラミング学習キット「ロボット・プログラミング学習キット [KOOV (TM)(クーブ)]」や、ノバルス株式会社による、乾電池で動くだけだった製品を、スマートフォンを使ってコントロールできるようになるIoT製品「乾電池関連製品 [MaBeee(マビー)]」、慶応義塾大学 政策・メディア研究科 鳴川研究室とオーサグラフ株式会社による、正確な地球の全体像を示す四角い世界地図「世界地図図法 [オーサグラフ世界地図]」など6作品が、2016年度グッドデザイン大賞候補に選ばれた。

 いずれも、近年注目が高まり、今後の日本社会でも重要なキーワードとなるであろうテーマや課題に対する提案性が高いデザインで、明日の日本をイメージさせるものとなっている。

 とはいえ、グッドデザイン賞は、決してデザイン優劣を競うコンペティションではない。そのデザインが「くらしや、社会を豊かにしうるのか」という視点、つまり、デザインの効果・効用という視点から評価を行い、顕彰する制度だ。1957年に通商産業省(現経済産業省)によって創設された「グッドデザイン商品選定制度(通称Gマーク制度)」から始まり、以来約60年にわたって、その目的は一貫している。

 グッドデザイン賞を受賞すると、その証としてGマークが使用できるほか、受賞展への参加や様々な企画を通して受賞デザインの情報発信の機会を増やせるなど、受賞作のアピールや企業のイメージアップが図れる。

 複数の商品やサービスで受賞している企業や団体も多い。例えば、木造注文住宅の株式会社アキュラホームとグループ会社の株式会社ハウスロジコムは、「中大規模木造建築普及プロトタイプ」、「在来木造ジャストイン配送システム」の2つで受賞している。

 「中大規模木造建築普及プロトタイプ」は木造注文住宅で培ったノウハウを中大規模木造建築によるオフィス・店舗など、 非住宅分野に展開。これを並及価格で実現する新たな活動が評価されたものである。「在来木造ジャストイン配送システム」は建築そのものではなく、同社の推し進める建築資材の配送システム改革に対し、作業時間の短縮やコストダウンに大きく貢献する優れたビジネスモデルとして評価されている。ちなみにアキュラホームは今回で5年連続、計16作品の受賞となった。

 また、家具・産業用機器等の製造を行う株式会社岡村製作所は、上下昇降デスク「Swift(スイフト)」やオフィスシステム「PRECEDE(プリシード)」など計7点で受賞。同社はこれまで、今回の受賞を合わせて全524点の製品・施設で受賞を果たしており、業界トップの受賞数を誇っている。

 グッドデザイン賞のサイトでは、すでに受賞作の詳細が掲載されており、それを見ているだけでも、日本に今、そしてこれからを垣間見ることができる。グッドデザイン大賞の発表は10月28日(金)から開催予定の受賞展「GOOD DESIGN EXHIBITION2016」で発表される予定。今から楽しみだ。(編集担当:藤原伊織)

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