米国の霊長類学者、クロザルは目的の結果を出すために操作ができるため、撮影した写真の著作権者になりえると主張

2016年8月15日 11:27

印刷

記事提供元:スラド

インドネシア・スラウェシ島で野生のクロザルが撮影した写真の著作権侵害をめぐる裁判で、著名な霊長類学者が法廷助言書を提出し、写真を撮影したクロザルが著作権者だと主張している(法廷助言書: PDFConsumeristの記事)。

この写真は英国の野生動植物写真家 David Slater氏のカメラを奪ったクロザルが撮影したものだ。英国ではSlater氏の会社Wildlife Personalitiesが著作権を取得しているとのことだが、米国では著作権者なしとされている。しかし、PETAはオスのクロザル「Naruto」が著作権者だと主張。この写真を使用した写真集でSlater氏とWildlife Personalitiesが著作権者として記載されていたことから、Narutoの著作権を侵害したとしてSlater氏らを訴えていた。

一審の連邦地裁で訴えは棄却されたが、7月28日にPETAが連邦第9巡回区控訴裁判所に上訴した。米著作権局のガイドラインでは動植物や自然による作品は著作権登録できないとされている。しかし、訴状でPETAは著作権法が保護の対象としているのは「著作者」によるオリジナルの作品であり、人間の著作者に限らないと主張しており、今後はAIが独自に作成した作品についても著作権を認める必要が出てくる可能性にも言及している(訴状: PDF)。

この訴訟について、米ノートルダム大学で人類学部学部長を務める、霊長類学者で自然人類学者のAgustín Fuentes氏が4日、Naruto側に立った法廷助言書を提出した。Fuentes氏はクロザルが目的の結果を出すために物を操作できるとし、Narutoが撮影した写真であることが間違いない以上、著作権者はNarutoであるとしている。

なお、Slater氏は写真を撮影したのがメスのクロザルだったと述べており、架空のNaruto像を作り上げて宣伝や収入源にしようとするPETAを批判している。 スラドのコメントを読む | Linuxセクション | Ximian | YRO | 法廷 | スラッシュバック | 著作権 | アメリカ合衆国

 関連ストーリー:
動物愛護団体PETA、ポケモンGOに便乗してポケモンを捕まえる人間を倒すゲームを公開 2016年07月26日
米地裁、猿の撮影した写真の著作権侵害をめぐる訴訟を棄却 2016年02月07日
米連邦地裁、猿が撮影した写真の著作権者は猿自身であるとの訴えを却下 2016年01月10日
PETA、猿が撮影した写真の著作権者は猿自身であるとして写真家らを提訴 2015年09月27日
アルゼンチンでオランウータンに人権が認められる 2014年12月26日
猿が撮影した写真の著作権をめぐり写真家がWikimedia財団を提訴 2014年08月12日
チンパンジーの「人権」を求める訴え、すべて却下される 2013年12月14日
インドの環境森林保護省、「イルカは人類ではない人」としてその権利保護を認める 2013年06月13日
猿が撮影した写真、著作権は誰に? 2011年07月16日
ペンギンをカメラマン代わりに使って生態を撮影 2011年03月08日

※この記事はスラドから提供を受けて配信しています。

関連記事