中規模木造建築の価格が現実的なレベルへ アキュラホームの取り組みとは

2016年7月30日 23:26

印刷

記事提供元:エコノミックニュース

アキュラホームは埼玉県熊谷市のアキュラホーム埼玉北支店オフィス棟「住まいと暮らしサロン」を竣工した。画像は「シザーストラスアーチ」。

アキュラホームは埼玉県熊谷市のアキュラホーム埼玉北支店オフィス棟「住まいと暮らしサロン」を竣工した。画像は「シザーストラスアーチ」。[写真拡大]

 木造建築の木の温もり。これはコンクリートや鉄骨建築では決して得られないものである。

 アキュラホームは埼玉県熊谷市のアキュラホーム埼玉北支店オフィス棟「住まいと暮らしサロン」を竣工した。

 この施設は、木造の可能性を最大限に追求し、工務店の知識・技術力をレベルアップさせ、広く普及することを可能にした住宅用一般流通材と加工技術による木造軸組み工法の最先端の事例だと同社はしている。つまり木材や金物など、特注の材料にならない普及版中規模木造建築だといっていいだろう。

 大規模建築を得意とするゼネコンや、木造を得意とする工務店やハウスメーカーともに木造による中・大規模建築に関しては成熟してない現状がある。

 そんな中、同社はこれまでの経験を生かし、構造、設計、監理、施工、技術などを最善の形でアレンジし、一般流通構造材料と住宅用木材プレカット加工技術をハイブリッドに採用することでコストを抑え、普及価格帯での建築を可能にしたという。

 具体的には通常では坪単価がおよそ120万円かかるところ、それを下回る坪単価を実現。今後はさらにコストダウンを進めて坪単価80万円の実現を目指すとしている。

 この施設は、構造が東京大学大学院木質材料学研究室教授の稲山正弘氏、設計・監理が河野泰治アトリエ主宰の河野泰治氏の監修によるものだ。「シザーストラスアーチ」といわれる工法で、吹き抜けの大空間を持つ3階建てアーチ棟と2階建てオフィス棟から構成されている。

 アーチ棟は広さ6m×16m、高さ9mの柱のない大空間を実現している。さらに2階部分を間口方向に1.5m、奥行き方向に3m、2方向に跳ね出させる(オーバーハング)木造建築として高度な技術が取り入れられている。

 構造材はすべてプレカットすることで、現場での加工を最小限に抑えて施工性を飛躍的に向上させている。

 またこの「住まいと暮らしサロン」は同社の全国展開の拠点としての支店の機能だけではなく、ソフト面でも、顧客・地域住民に対しては家守り・まち守りの拠点としての活用を考えており、地域活性化に貢献していきたいという。

 今までは、中規模以上の建築となると事実上、木造はその選択肢から外れてしまっていて木の温もりを持つ建物を作ることは難しかった。しかし、これからはもう諦める必要はない。(編集担当:久保田雄城)

■関連記事
憧れを手に入れる! ハイエンドな人に訴える商品
日本の住宅地にレジリエンスを 高齢化・過疎からの回復を目指して
林業が再び花形産業へ? 住宅メーカーが仕掛ける純国産木造住宅
3.11の記憶も新しい、地震大国“ニッポン”の住宅。耐震や免震とは異なる“制震”、住友理工の提案
都市圏から地方都市へ。全国に広がる多層階住宅化の波

※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。

関連記事