三菱UFJが参入を決めた「ビットコイン」電子マネーとの違いは?

2016年7月18日 08:33

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記事提供元:エコノミックニュース

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFGが、仮想通貨の世界最大の取引所を運営する米コインベースへ出資し、ビットコイン業界に参入することが明らかになった。ビットコインはしばしば電子マネーと混同されるが、性質が異なる。

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFGが、仮想通貨の世界最大の取引所を運営する米コインベースへ出資し、ビットコイン業界に参入することが明らかになった。ビットコインはしばしば電子マネーと混同されるが、性質が異なる。[写真拡大]

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)<8306>が、仮想通貨の世界最大の取引所を運営する米コインベースへ出資し、ビットコイン業界に参入することが明らかになった。コインベースは戦略的提携の一環で、三菱東京UFJ銀行、三菱UFJキャピタル、ベンチャーキャピタルのソーゾー・ベンチャーズの3社から約1,050万ドル(約10億5,000万円)の出資を受けると発表している。

 コインベースは2012年に創業し、現在は32ヵ国で事業を展開している。アジアへの進出がシンガポールだけにとどまる中、創業者で社長のエアサム氏は「主要なグローバル金融機関との提携がわれわれの戦略の柱」とし、「三菱東京UFJ銀行との協業を楽しみにしている」と述べている。

 ビットコインは「仮想通貨」であり、しばしば電子マネーと混同されるが、性質が異なる。まず、電子マネーは発行者がいることが大前提で、法的手当が行われている一方、ビットコインは発行企業が存在しない。

 資金決済法では、電子マネーは破産時に利用者を保護するために、発行残高の半分以上の金額を保証金として供託することを発行企業に義務付けている。発行企業が破産して電子マネーが使えなくなった場合は、この供託金と企業の残余財産から利用者へ還付されることになるが、供託金が半分しかないため、利用者が損をする可能性がある。

 ビットコインはそもそも発行企業が存在していないため、発行企業の信用リスクも存在しないが、仮にハッキングなどで残高が改変されるなどしてビットコインが使用できなくなった場合は、利用者は保有額を損失することになる。発行者がいないため、電子マネーのような利用者救済スキームも適用できず、あくまでも自己責任での利用を柱とし、利用者保護が求められることになると予想されている。

 そして、電子マネーにはないビットコインの最大の特徴は、「譲渡が可能」である点だろう。使用しても消えることはなく、世界中を転々と流通して使われていくのだ。払い戻しについても、電子マネーは預り金規制を受ける恐れがあるため、原則として払い戻しは認めない運用となっているが、ビットコインは第三者に譲渡することで換金を行なえる。

 ビットコインは、電子マネーというよりも円やドルといった通貨に近い性質があるため、自由に譲渡でき、世界中で利用できるという点においては、自国通貨の流動性が低い途上国などの事業者には魅力的だ。

 5月には、ビットコインなどの仮想通貨に対する規制を盛り込んだ改正資金決済法が成立。大きな可能性を秘めているビットコインだが、マネーロンダリングやテロ資金への悪用防止など課題が残されているのが現状だ。(編集担当:久保田雄城)

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