【MotoGP第8戦オランダGP】大荒れのレースを制しJ・ミラーが初優勝

2016年6月27日 19:19

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記事提供元:エコノミックニュース

ダッチウェザーに翻弄された決勝レース

ダッチウェザーに翻弄された決勝レース[写真拡大]

 2016年6月26日、MotoGP第8戦オランダGPの決勝が行われた。舞台となるTTサーキット・アッセンは第1回大会からレースが行われている伝統のサーキット。幾度もの改修を経て、現在は全長4,555mの高速サーキットとなっており、パッシングポイントが多いため各所でバトルが繰り広げられる。

 このアッセンはセッティングが難しいサーキットと言われているが、その最大の要因はダッチウェザーと呼ばれる気まぐれな天候だ。目まぐるしく変わる天候によってレース展開がガラッと変わることも多く、路面のコンディションも読みづらい。

 今季のオランダGPもそのダッチウェザーは健在で、直前に行われたMoto2クラスのレース後半に降り始めた雨によって、気温15度、路面温度19度のウェットコンディションで迎えることとなった。

 スタート直後、トップに飛び出したのは3番グリッドスタートのスコット・レディング(オクト・プラマック・ヤクニック)だったが、1コーナーで止まり切れずコースアウト。2番グリッドスタートのバレンティーノ・ロッシ(モビスターヤマハMotoGP)がトップに立ち、2番手にはポールポジションからスタートしたアンドレア・ドビツィオーゾ(ドゥカティ)がつけた。

 ウェットコンディションで始まった決勝レースだが、レース開始後雨は落ちず、徐々に路面は乾き始める難しいコンディションとなった。そんな中、3周目にしてトップのV・ロッシを脅かしたのはヨニー・エルナンデス(アスパー・チームMotoGP)だった。Y・エルナンデスはあっさりとV・ロッシを交わし、トップに立つと後続との差を広げ始め、4周目には2番手のV・ロッシに対し約2秒のアドバンテージを得るなど、快調に飛ばした。

 後続でも波乱は続出し、ダニロ・ペトルッチ(オクト・プラマック・ヤクニック)が4番手のマルク・マルケス(レプソルホンダ)を交わすなど、難コンディションならではのバトルが各所で繰り広げられた。ペナルティで最後尾スタートとなったアンドレア・イアンノーネ(ドゥカティ)も猛烈な追い上げを見せ、上位に食い込んできた。

 レース開始後しばらくは雨が落ちることなく、このままドライコンディションへ向かうかと思われた矢先、再び雲行きが怪しくなり雨が落ち始めた。12周目、先頭を行くY・エルナンデスがスリップして転倒。A・ドビツィオーゾがトップでレースを引っ張ることとなった。S・レディングはこの雨を味方につけ一時2番手まで浮上したものの、雨が急激に激しくなりレースは15周目で赤旗中断となった。

 一時はレースの再開が不可能とも思えるような豪雨だったが、気まぐれな雨はすぐに上がり、14周終了時点の順位をスターティンググリッドとしてレースの再スタート(12ラップ)が決定した。これによって中断直前に転倒したA・イアンノーネもレースに復帰した。

 再スタート直後はA・ドビツィオーゾがトップを守り、それにV・ロッシ、M・マルケス、ジャック・ミラー(エストレージャ・ガルシア・0,0・マークVDS)の順に続いた。残り11周、レース再開2周目にしてV・ロッシがA・ドビツィオーゾを抜いてトップに躍り出た。一方、2番手となったA・ドビツィオーゾはこの周回で転倒し、リタイアを喫した。

 残り10周、このまま難コンディションに強いV・ロッシが逃げるかに思われた矢先、そのV・ロッシがまさかの転倒。レース復帰を試みるも敵わずリタイアを余儀なくされた。この相次ぐ転倒によってM・マルケスがトップに立ったが、それも長くはもたなかった。

 残り9周、レース再開4周目にJ・ミラーが前を行くM・マルケスを交わしたのだ。インディペンデントチームがトップでレースを引っ張るというダッチウェザーならではの展開は今年一番の見せ場となった。

 J・ミラーはそのまま安定した走りを見せ、最高峰クラス初の優勝を手にした。堅実な走りを見せたM・マルケスは2位、S・レディングが3位で最高峰クラス2度目の表彰台を得た。4位はポル・エスパルガロ(モンスターヤマハテック3)、5位はA・イアンノーネ。また、チャンピオンシップを争うJ・ロレンソは始終苦戦気味で最終的に10位に終わっている。

 気まぐれなダッチウェザーに翻弄された今回のオランダGPは転倒者が相次ぎ、完走がわずか13台という大波乱だった。そんな中、ダークホースとも言えるJ・ミラーが堂々とした走りで勝利を手にしたのはまさに大番狂わせである。

 なお、Moto2クラスでは中上貴晶(出光ホンダチームアジア)が、Moto3クラスではフランセスコ・バグナイア(アスパー・マヒンドラチームMoto3)が共に初優勝を手にしておいる。

 今回のオランダGP、優勝こそ逃したものの、M・マルケスは20ポイントを加算して総合145ポイント。ポイントランキング2位のJ・ロレンソ(121ポイント)に対して24ポイント、3位のV・ロッシ(103ポイント)に対して42ポイントの差を築き、チャンピオンシップ争いにおいて頭一つ抜け出した。

 このままM・マルケスが逃げるのか、それとも昨年王者のJ・ロレンソ、あるいは生きる伝説と言われるV・ロッシが追い上げ逆転するのか、中盤になって俄然チャンピオン争いは面白くなってきた。今季はまだ中盤戦、J・ミラーのように新鋭ライダーの躍進も大いに期待できる。

 次戦MotoGPドイツGP決勝は7月17日、ザクセンリンクで行われる。サマーブレイク前、今後の展開の大きく影響する可能性の高い大事なレースは果たしてどんな展開となるのか。今から楽しみである。(編集担当:熊谷けい)

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