Warner/Chapell、長年にわたって徴収してきた「Happy Birthday to You」の使用料を返金するため、1,400万ドルの資金を準備

2016年2月13日 21:45

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記事提供元:スラド

「Happy Birthday to You」の著作権をめぐる米国でのクラスアクション訴訟で8日、和解合意書(PDF)が連邦地裁に提出された。和解合意書には被告のWarner/Chapell Musicが不当に徴収した使用料を返還するため、1,400万ドルの資金を準備するといった内容が盛り込まれている(Consumeristの記事TorrentFreakの記事Los Angeles Timesの記事)。

誕生日を祝って歌われる「Happy Birthday to You」の著作権は、長らく米音楽出版社 Warner/Chapell Musicが保有しているとされており、テレビや映画などで使用する場合はWarner/Chapellが使用料を徴収してきた。しかし、Happy Birthday to Youのドキュメンタリーを制作した米映画制作会社 Good Morning to You Productionが、既に著作権保護期間は終了していると主張。著作権使用料の返還やパブリックドメインであることの確認などを求めるクラスアクション訴訟を2013年に提起していた。

Happy Birthday to Youの著作権は1935年、原曲「Good Morning to All」を作詞・作曲したHill姉妹の許可を得て、音楽出版社のSummy Corporationが取得している。著作権は企業買収を経てWarner/Chapellに移動していた。しかし、原曲の著作権保護期間は1949年に満了しており、Happy Birthday to Youの作詞者は不明となっている。そのため、連邦地裁では2015年9月にWarner/Chapellの著作権を認めない判決を出す。その後、11月にHill姉妹の設立した財団などが著作者に権利が戻ったことの確認を求めていたが、12月には和解に達していた。

連邦地裁ではHappy Birthday to Youがパブリックドメインかどうかの判断を示しておらず、歌詞については作者不詳という状態になっている。ただし、和解合意書によれば、原告・被告・著作者ともに、裁判所が和解を承認した時点でパブリックドメインになると考えているという。また、被告と著作者は、パブリックドメインであることの確認を原告が裁判所に求めることに反対しないとしている。 スラドのコメントを読む | YROセクション | アメリカ合衆国 | 音楽 | YRO | 法廷 | スラッシュバック | 著作権 | お金

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