米地裁、猿の撮影した写真の著作権侵害をめぐる訴訟を棄却

2016年2月7日 18:01

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記事提供元:スラド

米国・サンフランシスコの連邦地裁は1月28日、インドネシア・スラウェシ島で野生のクロザルが撮影した写真の著作権侵害をめぐる訴訟を棄却した(裁判所文書: PDFVentureBeatの記事PCMag.comの記事Courthouse News Serviceの記事)。

写真は英国の野生動植物写真家 David Slater氏のカメラを奪ったクロザルが撮影したもの。この写真について動物愛護団体のPETAはオスのクロザル「Naruto」が撮影したもので、Narutoが著作権者だと主張。写真集で著作権者としてSlater氏およびSlater氏の会社 Wildlife Personalitiesを著作権者として記載したことでNarutoの著作権を侵害したとして、PETAなどがNarutoの訴訟後見人としてSlater氏側を訴えていた。なお、英国ではWildlife Personalitiesが著作権を取得しているという。

連邦地裁のWilliam Orrick判事は1月6日にクロザルが著作権を持つとの主張を却下しており、被告側の棄却要請も妥当と判断した。クロザルの著作権を認めないことは動物の芸術に関する公共の利益に反すると訴訟後見人は主張しているが、これに対して判事は「そうかもしれないが、そのような主張は議員や大統領にするべきであり、私にではない」と述べている。

Slater氏はFacebookにプレスリリースを投稿し、PETAが自然保護や動物の権利向上に努める野生動植物写真家を攻撃したと批判。写真を撮影したクロザルはメスだと判明しているのにもかかわらず、PETAが架空のNaruto像を作り上げてまで宣伝や収入源に使おうとしているなどと述べている。判決文によると、PETAはNarutoが人里近くに住み、旅行者や写真家が写真を撮影する様子を見てカメラの操作を覚えたなど主張しているようだ。

原告は20日以内に訴状を修正して再度提出することも可能だ。一方、Slater氏の弁護士は、原告に訴訟費用の補償を求めることも検討しているとのこと。 スラドのコメントを読む | Linuxセクション | Ximian | YRO | 法廷 | スラッシュバック | 著作権 | 変なモノ | アメリカ合衆国

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