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サプリメントの成分に腰痛緩和効果があることを明らかに―慶大・松本守雄氏ら
椎間板変性のモデルラットにNACを継続的に経口投与したところ、椎間板変性が抑制され、椎間板で炎症性サイトカインや細胞外マトリックス分解酵素などの発現も抑制されていることが分かった。(図:慶應義塾大学の発表資料より)[写真拡大]
慶應義塾大学の松本守雄教授らの研究グループは、サプリメントの成分でもある抗酸化剤N-アセチルシステイン(NAC)に、腰痛の原因の1つである椎間板変性を抑制する効果があることを明らかにした。
日本の超高齢化に伴い、脊椎の変性疾患の患者数は増加し続けており、特に全国推定患者数が3800万人と言われる変形性腰椎症では、ほぼ必ず椎間板変性を伴っている。しかし、椎間板変性を抑制する有効な治療薬は、これまでに見つかっていない。
今回の研究では、同意を得たられた椎間板変性の患者サンプルで酸化ストレスマーカーであるニトロタイロシンの発現を検討したところ、変性が進行すると、炎症性サイトカインの発現の上昇とともに、ニトロタイロシンの発現が上昇していることが判明した。
また、ラットの椎間板細胞を取り出し、酸化ストレス誘導剤を加えて培養したところ、炎症性サイトカインや細胞外マトリックス分解酵素などの発現が上昇し、逆に、炎症性サイトカインを加えると、ニトロタイロシンの発現が上昇する事がわかった。更に、これらの培養系に抗酸化剤N-アセチルシステイン(NAC)を加えると、それぞれの発現上昇が抑えられ、NACが椎間板変性を抑制する効果を持つことが示唆された。
また、椎間板変性のモデルラットにNACを継続的に経口投与したところ、対照群と比較して、椎間板変性が抑制され、椎間板で炎症性サイトカインや細胞外マトリックス分解酵素などの発現も抑制されていることが分かった。
ラットに対するNACの投与量はヒトに換算しても、他の疾患やサプリメントとしての内服量とほとんど変わりはなく、今後、ヒトで、椎間板変性に対するNACの有効性を検証していく予定という。研究グループは、椎間板変性や腰痛症の新たな治療薬としての可能性が期待されるとしている。
なお、この内容は「Arthritis Research & Therapy」に掲載された。論文タイトルは、「Excessive reactive oxygen species are therapeutic targets for intervertebral disc degeneration」(和訳:過剰な活性酸素は椎間板変性の治療標的である)。
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