軽自動車税引き上げの影響から抜けられない? 販売“失速”の理由の裏に未使用車

2015年10月10日 22:31

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記事提供元:エコノミックニュース

2013年度まで破竹の勢いで伸ばし続けていた軽自動車販売が、2014年4月以降、急速に落ち込んだ。今年4月の軽自動車税引き上げ後は、もはや“失速”と言って良いほどの状況だ。

2013年度まで破竹の勢いで伸ばし続けていた軽自動車販売が、2014年4月以降、急速に落ち込んだ。今年4月の軽自動車税引き上げ後は、もはや“失速”と言って良いほどの状況だ。[写真拡大]

 2013年度まで破竹の勢いで伸ばし続けていた軽自動車販売が、2014年4月以降、急速に落ち込んだ。今年4月の軽自動車税引き上げ後は、もはや“失速”と言って良いほどの状況だ。

 その背景に、2014年の消費増税、そして本年4月の軽自動車税引き上げが、あることは間違いない。とくに、今年4月の軽自動車税アップ後は、前年比70%台の販売も目立つ。4月1日以降に新車登録された軽自動車は、従来だったら7200円/年だった税金が、1万0800円/年に引き上げられた。

 一方、3月31日までに登録となった軽自動車は、持ち主が変わっても廃車されるまで、ずっと7200円/年でOKなのだ。当然、3月までの駆け込み需要があったはずだ。が、表を見ていただけば分かるが、3月ですら前年実績を割り込んでいる。2014年3月の消費増税前の強烈な駆け込み需要の実績を超えることはなかった。

 その2015年3月以前の実績を見ても2014年7月から前年を割り込み始め、軽自動車販売に陰りが出始めていた。続いて2015年7月の実績を見ていただきたい。前年を割り込んだ2014年実績を大きく下回る前年比78.3%という4月に次いで大きな落ち込み幅となった。

 ここに未使用車(かつて新古車と呼んでいた)問題が隠されていると指摘するアナリストは多い。先に述べたように引き上げられた軽自動車税は4月1日以降に新車登録したクルマに課税される。今年3月の販売は前年を割った(92.6%)とはいえ、実数で23万台以上の新車が登録された。4月の9万台と比べると雲泥の差だ。その3月の登録新車のなかに、軽自動車販社が自社登録を行ない、未使用車として保管してしまった相当数の軽自動車があるというのだ。3月までに登録を終えた未使用車は、だれの手に渡ろうと軽自動車税は7200円/年なのだ。

 通常、未使用車は登録後4カ月から半年後に販売される例が多い。ナンバーが付いているとは言え、新車とまったく同じコンディションのクルマだ。大量に駆け込み登録したこともあり、ボディカラーやグレード、メーカーオプションも充実しているという。未使用車を取り扱う販売業者は数多い。ネット検索すれば魅力的なクルマはぞろぞろ見つかる。「軽自動車税据置モデル」として、そのメリットを強調するサイトも多い。3月登録の未使用車は、まだ豊富に専門店に在庫があり、まっとうな“新車”にこだわらないユーザーにとってお買い得なクルマなのだ。この未使用車販売が7月以降の軽自動車販売減の一因だということ。

 とはいいながら、4月以降に発表された新型軽自動車も少なくない。ホンダS660やスズキ・アルトラパン、ダイハツは追加車種としてコペン・セロ、新型キャストを発売した。商品の魅力アップで売上増を狙う王道といえる戦略で臨むというわけだ。

 軽自動車の販売は、2011年まで年間170万台前後で安定していた。しかし、2012年から年間200万台がふつう、2013年に211万台超、2014年には遂に227万台超となり、登録車に迫る販売台数となった。冒頭で「軽自動車販売失速」と記したが、2015年も200万台超えは何とかクリアできそう。2013年、2014年の2年間の販売台数が特別だったと見るべきかもしれない。(編集担当:吉田恒)

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