【アナリスト水田雅展の銘柄分析】メディアスホールディングスは調整の最終局面、16年6月期大幅増益予想で配当利回り3%台

2015年8月31日 12:55

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 メディアスホールディングス <3154> (JQS)は医療機器販売事業を展開している。16年6月期大幅増益予想で収益は改善基調だ。株価は地合い悪化も影響して8月25日の年初来安値2130円まで水準を切り下げたが調整の最終局面だろう。16年6月期収益改善基調を評価して反発展開が期待される。3%台の配当利回りも注目点だ。

■医療機器・医療材料の販売が主力、M&Aで営業エリアと規模拡大を推進

 医療機器・医療材料の販売事業を主力として、介護・福祉機器の販売・レンタル事業も展開している。静岡県・神奈川県を地盤とする協和医科器械、およびオズの首都圏・愛知県エリアへの営業強化策に加えて、M&Aを積極活用して営業エリアと規模の拡大戦略を推進している。

 10年7月に栗原医療器械店(群馬県太田市)、12年7月にネットワーク(東京都新宿区)、13年7月に秋田医科器械店(秋田県秋田市)、14年7月にジオット(福島県郡山市)を完全子会社化し、14年10月には福井県内でトップシェアを誇る福井医療(福井県福井市)と資本業務提携した。

 14年10月には子会社ケアフォースを設立した。医療・介護用移乗機器および電動ベッドなどの輸入・販売事業を展開する。また海外展開は、インドにおける鴻池運輸 <9025> との医療データベース合弁会社CARNA MEDICAL DATABASEで、医療物流プラットフォームの構築を推進している。

■手術室運営支援ソフトウェアなど複合的サービスを強化

 商品戦略では医療機関への医療機器・医療材料の販売に加えて、手術室運営支援ソフトウェア、医療材料データベース、プライベートブランド商品などの販売も促進し、複合的サービスを強化している。

 手術室運営支援ソフトウェア「サージレーン」は、効率の良い病院手術室運営を提案して機器・備品売上の拡大に繋げる戦略商品である。14年6月期末時点の導入施設数は大病院を中心に8施設で、16年6月期には新たに3施設の導入を予定しているようだ。

 医療材料データベース・医療材料分析サービス「メッカル」は、医療材料価格の最適化を支援するツールで、14年6月期末時点で84施設に導入している。

■16年6月期は大幅増益予想で収益改善基調

 8月11日に発表した前期(15年6月期)の連結業績は売上高が前々期比0.1%増の1461億68百万円、営業利益が同57.7%減の6億77百万円、経常利益が同49.4%減の10億33百万円、純利益が同55.3%減の4億33百万円だった。

 配当予想は前々期と同額の年間80円(期末一括)で配当性向は58.0%となる。またROEは14年6月期比8.6ポイント低下して5.5%、自己資本比率は同1.4ポイント上昇して18.3%となった。

 売上面で見ると、備品は前々期の消費増税前駆け込み需要の反動や医療機関の設備投資抑制で大型案件が減少したが、一般消耗品は新規獲得のSPD(病院医療材料管理業務)契約も寄与して堅調に推移した。

 利益面では、主要仕入先からの共通購買実施や販売促進リベート獲得などの効果で売上総利益率が0.1ポイント上昇したが、首都圏営業強化策に伴う人件費の増加などで販管費比率が0.8ポイント上昇して営業減益だった。営業外では持分法投資損益が悪化した。特別損益では関係会社株式評価損が一巡した。

 15年6月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(7月~9月)339億31百万円、第2四半期(10月~12月)384億20百万円、第3四半期(1月~3月)390億48百万円、第4四半期(4月~6月)347億69百万円、営業利益は第1四半期1億03百万円の赤字、第2四半期3億70百万円、第3四半期5億52百万円、第4四半期1億42百万円の赤字だった。

 医療機関の設備投資予算執行が集中する年度末(1月~3月)にあたる第3四半期の構成比が高い収益構造だが、15年1月~3月は前年同期の消費増税前駆け込み需要の反動影響を受けた。

 今期(16年6月期)の連結業績予想(8月11日公表)は、売上高が前期比7.9%増の1577億円、営業利益が同62.4%増の11億円、経常利益が同49.9%増の15億50百万円、そして純利益が同2.1倍の9億円としている。配当予想は前期と同額の年間80円(期末一括)で予想配当性向は28.8%となる。

 備品については、医療機関の設備投資意欲の大幅な回復は見込めないが、提案中の案件を含めた一定の備品需要を着実に獲得するとしている。一方で利益率の高い消耗品の売上が増加基調であり、人件費の増加などを吸収して大幅増益予想だ。収益は改善基調だろう。

 中期的には首都圏および愛知県エリアなどへの営業強化、M&A・アライアンスによる営業エリア拡大、新規取引先の獲得、SPD(病院医療材料管理業務)事業の拡大、複合的サービスの強化、さらに大量購買による仕入価格低減や業務効率の改善などが寄与して収益拡大が期待される。

■株価は調整の最終局面

 株価の動きを見ると、年初来安値圏の2300円~2500円近辺で推移していたが、地合い悪化も影響して8月25日の2130円まで水準を切り下げた。その後は2200円台に戻したがやや反発力の鈍い展開だ。

 8月28日の終値2219円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS277円59銭で算出)は8倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間80円で算出)は3.6%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2627円85銭で算出)は0.8倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえて、2300円近辺の下値支持線を割り込んだ形だ。ただし長い下ヒゲをつけて売り一巡感を強めている。調整の最終局面のようだ。16年6月期収益改善基調を評価して反発展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

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