個人特性まで考慮して、熱中症のリスクを10分で評価できるシステムを開発

2015年7月30日 22:02

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東北大学などの共同研究グループは、個人特性を考慮して、3時間後の熱中症のリスクを10分で評価する技術を開発した。(写真:研究グループの発表資料より)

東北大学などの共同研究グループは、個人特性を考慮して、3時間後の熱中症のリスクを10分で評価する技術を開発した。(写真:研究グループの発表資料より)[写真拡大]

 東北大学などの共同研究グループは、個人特性を考慮して、3時間後の熱中症のリスクを10分で評価する技術を開発した。

 名古屋工業大学は熱中症のリスク要因である体内深部温度と発汗量を解析する研究を、東北大学は計算機科学の学際的共同研究を、日本気象協会は熱中症予防に関する啓発活動を、それぞれ行ってきた。

 今回の共同研究では、名古屋工業大学が開発してきたマルチフィジックスとシステムバイオロジー融合した解析コードを、東北大学が中心となってベクトル化・並列化を同時に施し、スーパーコンピュータ「SX-ACE」に効率的に実装した。これまでの物理解析とは異なり、ベクトル化には適していないシステムバイオロジーの部分を効率的に実装するよう工夫を施した。

 さらに、この解析手法に、日本気象協会が提供する気象予測データを入力情報として組み込むことにより、大規模イベントなどにおける熱中症リスク評価シミュレーションが準リアルタイムで実施できるシステムを実現した。

 実際に、年齢や性別など複数の人体モデル、さらには熱調整機能のばらつきなどの複数のパターンのデータを並列的に処理した場合、10分以内に大半の人口をカバーした評価が可能となることが分かった。

 今後は、大規模なスポーツ大会や屋外イベント等において、個人属性を考慮した適切な熱中症リスク評価技術を活用することで、今まで以上に場面に応じた発症数の低減に貢献できると期待されている。

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