高齢者向けの各種サービス、団塊世代の本格高齢化控え市場は拡大

2015年4月1日 07:18

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記事提供元:エコノミックニュース

 社会の高齢化は世界のメガトレンドであるとも言われる。我が国でも、介護や見守り、緊急通報サービスなどのさらなる市場拡大が見込まれている。進化する情報テクノロジーを駆使して、高齢者にも子供世代にも安心を提供する、そんな近未来志向の高齢者向けサービスが広がりつつある。

 独居老人の見守りシステムは、子供世代の人口が減りつつある現代において最も需要の高まるサービスだろう。介護関連の有名メーカー、アートデータは、IoT技術の導入で高齢者の一人暮らしを地域でサポートする安否確認サービスを提供する。寝具や浴室のマット、部屋や冷蔵庫のドア、室内の要所の壁などにセンサーを設置。このセンサーが反応して、家族やヘルパーさんの電話、あるいは同社の安否確認サーバへデータが送られる仕組みだ。一人暮らしの家からの通信料は無料、拘束無しできめ細やかな見守りが可能なため、高齢者も家族も安心して依頼できる。同様のシステムはセキュリティ大手ALSOC<2331>も採用しているが、こちらは緊急時に同社のガードマンが直接駆けつけてくれることになっている。

 高齢者が肌身に付けて使用する緊急通報装置も、各社から高機能のものが開発されている。オランダに拠点を置く医療機器メーカー、フィリップスは、緊急通報専用のペンダントを開発。救助が必要なときにボタンで呼び出せるだけでなく、使用者が転んだり倒れたりすると自動で検知し、同社の専用センターに通報するようになっている。転倒時に起こる、気圧や高度、加速度やモーションの変化をペンダントのセンサーが感知するためだ。また防水仕様なので、これを付けたままお風呂に入ることもできる。転倒の多い浴室でも安心だ。

 またNTTドコモ<9437>も、高齢者向けの腕時計型ウエアラブル端末を開発。今年1月に開催された「高齢者生活支援サービス展2015」に出品。周囲の湿度や温度の変化から本人の活動状態や健康状態を把握する他、徘徊して迷子になっても位置情報を検索して家族のスマホに送信するアラート機能などがある。

 昨年の高齢者見守りや緊急情報サービスの市場規模は、約142億円であったという。さらに10年後の2025年には、団塊世代が本格的に高齢者となり、市場規模は約227億円に拡大すると見込まれる。ITネットワークの進歩により自動システムでお年寄りを守る方向性は一層強まるであろうが、時には私たち自らの手で高齢の家族を気遣い、心と心の触れ合いでお互いの安心を保証する、そんな素朴な繋がりが顧みられてもよいだろう。(編集担当:久保田雄城)

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