中国:信託商品に投資リスク、新華信託は115億円償還を1年先送り

2015年3月30日 09:46

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記事提供元:フィスコ


*09:47JST 中国:信託商品に投資リスク、新華信託は115億円償還を1年先送り
中国の信託商品(金融理財商品)で違約が散発的に発生している。新華信託公司(本
社:重慶市江北区北城1路6号)が組成した「新華信托・匯源6号房地産基金集合資金
信托計画(匯源6号)」は、当初4月16日に満期を迎える予定だった。しかし投資家に
対して、工事と販売許可証発給が遅れていると説明。運用期間を1年延ばすと通知し
たという。経済参考報が27日付で伝えた。
匯源6号の資金は、石家荘躍房地産開発公司向けの増資に投入された。新華信託は
匯源6号を通じて6億人民元(約115億円)、不動産デベロッパーの卓達房地産集団は3
億人民元を投資。国有地を取得したうえで、石家荘卓達碧水馨園住宅プロジェクトの
建設を進めてきた。販売が遅れている現状について、新華信託は現地政府による大気
汚染抑止策が障害になっていると指摘。充分な担保を抑えている点を踏まえ、投資利
回りを最大化するために、満期を先送りすることを決めたと釈明している。
信託商品の償還が滞るのは、新華信託にとって初めてではない。2014年の1月には
「新華信托・上海録潤置業股権投資集合資金信托計画」、11月には「華恵50号」と
「華恵119号」の償還リスクが相次いで顕在化した経緯がある。ただ、最後には債務
不履行(デフォルト)を免れたようだ。ただ、新華信託が組成した信託商品で、15年
に満期を迎えるものは多い。合計136億1800万人民元の償還が予定されている。
中国の信託商品(金融理財商品)は、「ハイリスク・ハイリターン」の状態に回
帰しつつある。統計などを手がける用益信託の統計によると、不動産向け「集合資金
信託」は15年に総額2413億3900万人民元が満期を迎える予定。第1四半期が534億2400
万人民元、第2四半期が578億4500万人民元、第3四半期が670億8600万人民元、第4四
半期が629億8400万人民元に上る。これに「単一資金信託」が加わるため、償還規模
はさらに大きい。「単一資金信託」は償還期日や募集規模を公表しない例が多い。こ
れらを合わせた不動産向け信託商品の15年償還期額は、少なく見積もっても3000億人
民元を超えるという。
投資リスクが意識されるなかで、不動産向け「集合資金信託」の組成規模は15年
に入って縮小。今年第1四半期の募集額は、前年同期比で73.4%減の112億900万人民
元に落ち込んだ。組成数も55.9%減の86本に縮んでいる。
中国信託業協会によると、信託業界全体の信託資産規模は、14年末時点で総額
13兆9800億人民元(約268兆1300億円)に上る。うち369商品になんらかの問題が生じ
た。これらは総額規模で781億人民元に達したという。ただ、全体のリスク管理は限
定されているとの見方。信託資産規模に占める比率が0.56%に過ぎないためだ。
各信託会社(投資代理業者に相当)によって管理される信託資産は、3種に大別される。「集合資金信託」のほか、投資家が1社に限定される「単一資金信託」、機関投資家を主要顧客とする「管理財産信託」など。

【亜州IR】《ZN》

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