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理研、植物のセシウム取り込みを抑制する化合物を発見 被災地での活用に期待
研究グループが選抜した5種類の化合物のセシウム耐性への寄与を示す写真。0.3mMセシウム培地では5種全てで、セシウムを取り込んだことによって起きる葉の白化現象が緩和されていることが分かる。特にCsTolen Aは、よりセシウム濃度の濃い0.4 mM培地においても葉が白くなる現象を抑え、根の生長阻害も抑制している(理化学研究所の発表資料より)[写真拡大]
理化学研究所のアダムス英里特別研究員・申怜(シンリョン)ユニットリーダーらによる研究グループは、植物の高濃度セシウムに対する耐性を高める化合物「CsTolen A(シストレンエー)」を発見した。
放射性セシウム「セシウム137」は半減期が30年と比較的長く、土に含まれる粘土や有機物と強く結び付く性質を持っている。除染技術の確立や農作物の安全を確保するために、植物がセシウムを取り込む仕組みの解明が急務となっているが、その詳細は明らかになっていなかった。
今回の研究では、1万種から成るケミカルライブラリーをスクリーニングし、5種を選抜して実験を行ったところ、「CsTolen A」に植物体内のセシウム蓄積量を顕著に低下させる効果があることが分かった。さらに、CsTolen Aの類似化合物を用いた作用部位の模索実験や量子力学的理論モデリングの手法などを用いて、セシウム蓄積量を低下させる仕組みを調べた結果、CsTolen Aがセシウムに選択的に結合することにより、植物がセシウムを取り込みにくくしていることが明らかになった。
今後は、植物におけるセシウム取り込みのメカニズムが解明され、福島の当該地域における営農再開に向けた一助となることが期待されている。
なお、この内容は3月5日に「Scientific Reports」に掲載された。
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