京大、ネコの移動の歴史を探る手がかりとなるレトロウイルスの痕跡を発見

2015年2月5日 12:27

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京都大学の研究で、イエネコの移動経路を明らかにするための指標として、RD-114ウイルスに関連した内在性レトロウイルス配列RDRSが有用であることが分かった(写真:京都大学の発表資料より)

京都大学の研究で、イエネコの移動経路を明らかにするための指標として、RD-114ウイルスに関連した内在性レトロウイルス配列RDRSが有用であることが分かった(写真:京都大学の発表資料より)[写真拡大]

 京都大学の宮沢孝幸准教授・下出紗弓博士課程学生らによる研究グループは、イエネコの移動経路を解明するための重要な情報となるレトロウイルスの痕跡を発見した。

 イエネコは約1万年前に中東で家畜化されたと言われており、DNA解析や埋葬遺跡によって、その祖先は中東に生息するリビアヤマネコであることが分かっている。しかし、現在は世界各地に約100種類もの品種が存在しており、各品種の起源には不明な点が多い。

 今回の研究では、生殖機能に感染したレトロウイルスが内在性レトロウイルスとなって子孫に受け継がれる性質を利用して、ネコの移動過程を調べた。その結果、ベンガルヤマネコとネコ属が分岐した後にC2染色体にRDー114ウイルス関連配列を保有していることや、中東で家畜化されたイエネコのうち欧米に向かった一部の集団には新しいRDー114ウイルス関連配列が侵入したことなどが分かった。

 研究メンバーは、「本研究によって、これまで不明であった家畜化後のイエネコの移動経路を明らかにするための指標として、RD-114ウイルスに関連した内在性レトロウイルス配列RDRSが有用であることが分かりました。(中略)RDRSのさらなる研究はイエネコの起源・歴史を紐解くだけでなく、品種ごとの特徴・違いの理解にも役立つと考えられます」とコメントしている。

 なお、この内容は2月2日に「Scientific Reports」に掲載された。

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