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理研、パルス幅が理論極限の「単一サイクルX線パルス」を生成する方法を開発
理化学研究所の田中隆次主任研究員は、パルス幅が理論極限である波長程度まで短くなった「単一サイクルX線パルス」を生成する手法を開発した。
発光時間が短い光によって様々な分野の超高速現象が解明されてきた。その究極形態は発光している間に光の波が1回だけ振動する光「単一サイクル光パルス」であり、極端紫外線領域においては既に実現されている。しかし、X線自由電子レーザーでは光が電子よりも前方へ進む「光のすり抜け効果」があるため、単一サイクル光パルスの発生は困難であった。
今回の研究では、波長より短い電子の塊(マイクロバンチ)を複数作り、「n番目のマイクロバンチの間隔」と「n番目の磁場周期において光がすり抜ける距離」が等しくなるようにマイクロバンチを並べることで、単一サイクル光パルスが実現できることを示した。実際に、エネルギー2GeV・電流2kAの電子ビームでシミュレーションをした結果、波長8.6nm・ピークパワー1.2GWの単一サイクルX線パルスを発生できることが確認できた。
今後は、本手法を硬X線領域において実現することで、パルス幅数100ゼプト秒という究極の光を創り出し、これを利用してゼプト秒領域の超高速現象を追求する、いわば「ゼプト秒科学」という新たな分野を切り開くことが期待されている。
なお、この内容は1月27日に「Physical Review Letters」オンライン版に掲載された。
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