国土交通省、JR九州の民営化を具体化 2016年度中に株式上場も

2015年1月27日 21:56

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 国土交通省は27日、JR九州の完全民営化に向けたプロジェクトチームによる検討内容のとりまとめを発表した。2016年度中のJR九州株上場を目指すため、今年度の通常国会にJR会社法改正案を提出する。

 JR九州は独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」(元・日本国有鉄道清算事業団)が同社の株式を100%保有している特殊会社。九州新幹線及び在来線に加え、「ななつ星in九州」等の観光列車を運行するとともに、駅ビル、マンション等の不動産事業、流通・外食事業、ホテル事業等の関連事業を実施している。

 国鉄分割・民営化が行われ発足した、JR九州を含むJR7社については、「国鉄改革のための基本方針について」(昭和60年10月11日閣議決定)等の累次の閣議決定で、「経営基盤の確立等条件が整い次第、できる限り早期に完全民営化する」とされていることから、今回のJR九州株上場案が浮上した形だ。

 JR九州は経営安定基金として3,877億円が与えられているが、JR九州の自主性を確保しつつ、経営安定基金が果たしている機能・目的を実質的に確保する観点から、返還は求めず、以下の資産等へ基金を振替える。

 振替内容は以下の3項目となる。
 ①九州新幹線貸付料の一括前払い(2,205億円)、②鉄道資産取得のために(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構から借り入れた無利子借入金の償還財源への振替(800億円)、③鉄道ネットワークの維持・向上に必要な鉄道資産への振替(872億円)。

 上場後のJR九州の運営に関しては、国の後見的な助成・監督が必要な段階は終了しているものの、国交省は国鉄改革の経緯を踏まえた事業運営の確保のため必要となる最小限の事項を、国土交通大臣が「指針」として提示するなど、関与していくという。(記事:町田光・記事一覧を見る

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