【黒澤善行の永田町ウォッチ】所信表明演説の省略に野党が反発

2015年1月26日 11:59

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記事提供元:さくらフィナンシャルニュース

【1月26日、さくらフィナンシャルニュース=東京】

 先週16日、衆参両院の議院運営委員会理事会で、菅官房長官は、通常国会を1月26日に召集する日程を伝達した。また、経済対策を裏付ける補正予算案を26日に提出する方針も伝えた。野党から異論がでなかったことから、通常国会は6月24日までの150日間に確定した。

 政府・与党は当初、26日に安倍総理が所信表明演説を行い、来年度予算案を2月13日に国会提出のうえ、改めて安倍総理が施政方針演説を行う日程を描いていた。しかし、来年度予算案の審議入りが補正予算の成立後(2月中旬)と国会日程が窮屈なものとなるため、今年度内成立は困難な情勢となっている。このことから、来年度予算の年度内成立をめざす方針を確認した政府・与党は、安倍総理の所信表明演説を省略し、来年度予算案の審議日程を少しでも繰り上げたい考えだ。所信表明演説を省略した場合、補正予算の成立が2日程度の前倒しになる可能性があるとみられている。

 これに対し、民主党など野党は、総選挙により新内閣が発足した以上、所信表明演説を行うのが恒例と反発した。

 与野党は、16日の衆議院議院運営委員会理事会で、26日に麻生財務大臣による財政演説を行うことで合意した。与党側は、与野党合意を根拠に、安倍総理による演説は来年度予算案の提出後に行う施政方針演説に一本化することが事実上決まったと説明する。強行突破も辞さない構えだ。一方、野党側は「所信表明演説をしないとは決めていない」と、補正予算案の早期審議入りを求める与党を牽制する。議院運営委員会理事会を21日に改めて開催するよう要求する方針だが、野党内にも、施政方針演説は行われるので、所信表明演説の実施にこだわるのは得策ではないとの声もある。【了】

 黒澤善行(くろさわ・よしゆき)/愛知県春日井市生まれ。立命館大学政策科学部卒業、立命館大学政策科学研究科博士前期課程修了。毎日新聞社「週刊エコノミスト」記者、衆議院議員政策スタッフ、シンクタンク2005・日本(自民党系)研究員などを経て、従来の霞が関の機能を代替できる政策コンサル産業の成立を目指す株式会社政策工房の主任研究員に就任。主著に『できる総理大臣のつくり方』(春日出版、共編著)『ニッポンの変え方おしえます―はじめての立法レッスン』(春秋社)がある。政策工房Public Policy Review(http://seisaku-koubou.blog.jp)より、著者の許可を得て転載

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