大雪の今年、注目されるスノーアクティビティとは?

2015年1月25日 17:24

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記事提供元:エコノミックニュース

気温-40℃・風速27m/s、時にはパウダースノーが吹き荒れる過酷な環境下で開発される、ヤマハ発動機のスノーモビル。ソチ冬季五輪でも公式サプライヤーとして使用されるなど、世界的な信頼も厚い。

気温-40℃・風速27m/s、時にはパウダースノーが吹き荒れる過酷な環境下で開発される、ヤマハ発動機のスノーモビル。ソチ冬季五輪でも公式サプライヤーとして使用されるなど、世界的な信頼も厚い。[写真拡大]

 新年早々、京都が61年振りとなる記録的な大雪に見舞われるなど、昨年末から日本各地で豪雪のニュースが相次いでいる。交通機関に影響が出たり、生活に支障があるのは頂けないが、スキーレジャー関連業界にとっては、まさに恵みの雪。2013年頃から、スキー場の客足も徐々に回復傾向が見られていることからも、今シーズンの雪には期待がかかる。

 スノーレジャーといえばスキーやスノーボードばかりが注目されるが、最近ではスキー以外のアクティビティも人気だ。例えば、雪上バナナボートやスノーラフティング、様々なグッズを使った雪合戦などがあるが、中でも一度は体験してみたいスノーアクティビティの代表的なものといえば、スノーモビルではないだろうか。

 JSSA(日本スノーモビル安全普及協会)が公表しているデータによると、近年の国内需要は約600台前後で推移しており、降雪地域での山林管理やスキー場における業務などのほか、レジャーとしても幅広く活用されている。日本国内では未だそれほどメジャースポーツという認識は薄いが、世界規模で見てみると、北米や欧州を中心に年間需要は約26万台の規模があり、もっとも需要の多いアメリカやカナダでは、スノーモビル専用道路などもあり、家族で楽しむレジャーとしてスノーモビルが親しまれている。

 このスノーモビルの開発と販売で世界的な信頼を得ている日本企業がある。ヤマハ発動機だ。同社がスノーモビル市場に参入したのは1968年。第1号モデルとなった「SL350」は、同社のお家芸である二輪車用エンジン技術を応用したマシンだった。それ以来、2ストロークが主流の業界において、あえて燃費と排出ガスのクリーンな4ストロークエンジンのスノーモビルに挑戦するなど、さまざまな需要に応えたスノーモビルを開発、発売してきた。ちなみに、現在、日本メーカーでスノーモビルの製造販売を行っているのはヤマハ発動機だけだ。

 同社の強みは、-40℃から+60℃までの約100℃の気温差を4時間ほどで冷却、加熱できる国内でも数少ない高低温環境試験室を静岡県磐田市にある同社の敷地内に保有していることだ。ここでは温度管理だけでなく、人工雪を降らせたり、強風を吹かせたり苛酷な環境を作って実験することもでき、スノーモビルの他、除雪機や発電機などのテストなども行われている。

 この実験室で製造される人工雪は0.5~数mmと極めて小さく、自然の雪に近い破砕形を持つパウダースノーが特長だ。通常、一般的に作られる人工雪は氷を細かく砕いて作る「砕氷式」という製法で作られている。この方法を用いると、短時間で大量の人工雪が製造でき、設備投資も抑えられるという大きなメリットがあるが、その反面、雪粒が大きく固まりやすいというデメリットがある。

 日本の雪は比較的大きくて湿り気を含んでいるが、世界の国々では、砕氷式の人工雪よりももっと小さくてサラサラした雪が降り積もる地域は珍しくない。パウダースノーはスキーヤーにとっては嬉しいものだが、スノーモビルには天敵ともいえる存在。機能部品の内部にまで入り込んでしまうと、故障やトラブルの原因になるからだ。雪山でのマシントラブルは命取りにもなりかねない。

 ヤマハは気温-40℃・風速27m/sの過酷な環境下で、パウダースノーを用いた実験を繰り返すことで世界的に信頼されるマシンを作り出している。昨年開催されたソチ冬季五輪でも選手や関係者の五輪会場内での移動や物資の移送などに同社のスノーモビルが活用されている。

 日本ではまだまだレジャーとしての認識が薄いスノーモビルだが、実は専用ゲレンデを備えた「スノーモビルランド」は全国に40ヵ所以上も存在している。その多くでレンタル車両の貸し出しを行っているので、初心者でも気軽に体験することができる。雪の多い今シーズンは、スノーモビルを楽しむ絶好の機会かもしれない。(編集担当:藤原伊織)

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