東工大、火星地下に新たな水素の貯蔵層が存在することを発見

2014年12月27日 12:57

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火星隕石に含まれる衝撃ガラス(赤矢印)の電子顕微鏡写真(東京工業大学の発表資料より)

火星隕石に含まれる衝撃ガラス(赤矢印)の電子顕微鏡写真(東京工業大学の発表資料より)[写真拡大]

  • 今回発見された新たな水素の貯蔵層の場所を表した火星の模式断面図。水素貯蔵層は(a)含水鉱物として地殻中に取り込まれるか、(b)氷として凍土層として存在する。凍土層として存在する場合は、古海洋が存在したと考えられる北半球に水成堆積物と互層する形で存在すると予想される(東京工業大学の発表資料より)

 東京工業大学の臼井寛裕助教らによる研究グループは、火星隕石の水素同位体分析に基づき、火星地下に新たな水素の貯蔵層が存在することを発見した。

 火星はかつてその表層に液体の水が存在しうるほど温暖で湿潤な環境であったことが示唆されているが、現在の火星には、極域に少量の氷が発見されているのみで、生命の存在条件に関する水の歴史について詳細は明らかになっていない。

 今回の研究では、臼井助教らによって開発された分析法を用いて、火星隕石の分析を行った。その結果、世界で初めて火星隕石に含まれている過去の表層水成分の高精度水素同位体分析に成功し、現在でも火星には大量の水素が氷(H2O)あるいは含水鉱物(OH基)として地下に存在していることが分かった。

 今後は、将来の火星生命探査・有人探査計画の策定に強く反映されると期待されている。

 なお、この内容は2015年1月15日の「Earth & Planetary Science Letters」に掲載される予定となっている。

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