【黒澤善行の永田町ウォッチ】政府提出法案、成立率は67.7%

2014年11月27日 12:09

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記事提供元:さくらフィナンシャルニュース

【11月27日、さくらフィナンシャルニュース=東京】

 与党は、21日の衆議院解散を前に、以下の主要法律を駆け込みで可決・成立させた。

 民主党など野党は、安倍総理が衆議院解散を表明したことに「解散を決めた内閣のもとでの審議には応じられない」「信を問うとは国会の機能がいらないということだ」(民主党の川端国対委員長)などと反発して、緊急性の高い法案など一部を除き審議・採決を欠席した。また、当初、内閣不信任決議案を提出して安倍総理との対決姿勢を鮮明にすることも野党内で検討されていた。しかし、決議案そのものが衆議院を解散する口実ともなりかねないとの懸念が生じたため、決議案提出を見送ることとした。

■まち・ひと・しごと創生法

 地方創生の基本理念などを定め、地方での魅力ある雇用創出や結婚・出産・育児の環境整備などを着実に実施するよう客観的指標を盛り込んだ平成27年度からの5カ年計画「総合戦略」の策定を国・地方自治体に努力義務を課す

■改正地域再生法

 地域支援をめぐる各省への申請窓口を一元化するとともに、地域活性化に取り組む自治体を支援

■改正外国人漁業規制法・漁業主権法<議員立法>

 小笠原諸島周辺海域での中国漁船によるサンゴ密漁問題を受けて、外国人による日本領海内などでの違法操業や、排他的経済水域(EEZ)で無許可操業などに対する罰則強化

■空家対策推進特別措置法<議員立法>

 国土交通省・総務省に基本方針策定を義務付けるほか、自治体による固定資産税納税情報を活用した所有者調査や立ち入りを可能にし、所有者に撤去・修繕に係る命令権限を付与

■改正薬事法<議員立法>

 検査・販売停止命令を出せる危険ドラッグの対象を拡大し、全国一律で販売・広告の禁止などの規制・罰則強化

 臨時国会では、閣僚の政治とカネをめぐる疑惑追及などで法案審議が停滞し続けたため、政府が新たに提出した31法案のうち成立したのは21本にとどまった。継続法案では、改正テロ資金提供処罰法や、専門的有期雇用労働者等特別措置法が成立している。【了】

 黒澤善行(くろさわよしゆき)/愛知県春日井市生まれ。立命館大学政策科学部卒業、立命館大学政策科学研究科博士前期課程修了。毎日新聞社「週刊エコノミスト」記者、衆議院議員政策スタッフ、シンクタンク2005・日本(自民党系)研究員などを経て、従来の霞が関の機能を代替できる政策コンサル産業の成立を目指す株式会社政策工房の主任研究員に就任。主著に『できる総理大臣のつくり方』(春日出版、共編著)『ニッポンの変え方おしえます―はじめての立法レッスン』(春秋社)がある。政策工房Public Policy Review(http://seisaku-koubou.blog.jp)より、著者の許可を得て転載

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