【黒澤善行の永田町ウォッチ】7-9月期GDP速報、2四半期連続でマイナス

2014年11月24日 19:15

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記事提供元:さくらフィナンシャルニュース

【11月24日、さくらフィナンシャルニュース=東京】

 今週17日、2015年10月から消費税率10%に引き上げるか否かの判断材料のひとつとされている、2014年7-9月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)1次速報が発表された。

 GDP1次速報では、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.4%減、年率換算1.6%減と事前の予測を大きく下回り、2四半期連続のマイナス成長となった。

 今年4月の消費税率8%への引き上げにより景気が大きく落ち込んだ4-6月期(年率7.3%減)からの回復が遅れたことについて、増税に伴う物価上昇や円安影響に所得増加が追い付かないうえ、夏場の天候不順要因も重なって、GDPの約6割を占める個人消費(前期比0.4%増)が伸び悩んだことにある。

 また、好調な企業業績を背景に、けん引役として期待された設備投資(0.2%減)や、住宅投資(6.7%減)などの低調も影響したとみられている。

 甘利経済再生担当大臣は「景気の好循環は続いている」との認識を示しつつ、「景気後退という言葉で簡単に片付けられない」「消費マインドの萎縮が一番よくない。将来に向けて所得環境が連続して改善していくという安心感が必要だ」と強調した。

 菅官房長官も、消費税率8%への引き上げについて「間違いなかった。このことによって財政健全化に大きな役割を果たした」と強調したうえで、「全体的には緩やかな回復基調にあり、アベノミクスによる日本経済再生の流れは底堅い」との見解を示した。【了】

黒澤善行(くろさわよしゆき)/愛知県春日井市生まれ。立命館大学政策科学部卒業、立命館大学政策科学研究科博士前期課程修了。毎日新聞社「週刊エコノミスト」記者、衆議院議員政策スタッフ、シンクタンク2005・日本(自民党系)研究員などを経て、従来の霞が関の機能を代替できる政策コンサル産業の成立を目指す株式会社政策工房の主任研究員に就任。主著に『できる総理大臣のつくり方』(春日出版、共編著)『ニッポンの変え方おしえます―はじめての立法レッスン』(春秋社)がある。政策工房Public Policy Review(http://seisaku-koubou.blog.jp)より、著者の許可を得て転載

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