新関西国際空港に、給油会社が「給油行為は国の事業の代行である」と反論

2014年10月3日 16:31

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記事提供元:さくらフィナンシャルニュース

【10月3日、さくらフィナンシャルニュース=大阪】

  さくらフィナンシャルニュース(SFN)が、「新関西国際空港に、給油会社が他社の給油行為を禁止するよう要求」とのタイトルで報じていた訴訟案件について、原告の反論が判明した。

 原告の大阪ハイドラントは、大阪国際空港(伊丹空港)で給油事業を営む株式会社。被告は平成24年(2012年)より同空港を運営管理する新関西国際空港(大阪府泉佐野市)である。

  事件番号は、平成26年(ワ)第4648号。

■ハイランドが訴えに至る経緯


 国土交通省航空局の指導のもとに昭和41年(1966年)に設立された原告・ハイドランド社は、50年近く、大阪国際空港でのすべての給油行為に関与してきた。しかし、平成25年(2013年)8月、ANA(東:9202)が原告の施設を使用せずに、ANA自らの設備を用いて給油を開始する。

 これにより、給油量が半減した原告は、ANAの給油行為を禁止するように被告に請求する訴訟を提起した。

 原告の主張の眼目は、原告の給油行為は国土交通省から「指定」されていた公共性の高い事業であるということ。よって、「指定」のないANAの給油行為は認められないという。これに対して、被告は、原告の主張を全面的に退け、原告の給油行為は政府の代行ではない、また、原告には他の給油会社を退ける「排他的営業権」はない、という反論を展開した。

■新たな展開―ハイランドの反論―


 9月4日付の準備書面で、原告は、平成20年に国土交通省航空局が作成した公文書「事前評価書」を証拠として提出。航空機に対する給油事業はあくまで国の代行であることを主張した。そこには確かに「国の事業の代行」、「指定制度の創設」という言葉がある。

 また、原告がうったえる「指定制度」の法的根拠は、空港法15条である。被告が「指定」を受けていないANAの給油行為を許容することは、「指定制度」を否定することになり、空港法15条違反であると原告は反論した。

 また、原告は「排他的営業権」を主張しているのでなく、被告に他社の給油行為禁止を請求しているに過ぎないと付け加えた。

■民営化のひずみ


 ハイドランド社が給油行為を営む大阪国際空港は、平成24年(2012年)に、関西国際空港と統合され、同年7月に、国土交通省から被告の管轄に移った。管轄が、原告と関連の深い国土交通省から、一民間企業である被告に移ったため、給油事業の運営方針に揺れが生じたのだろう。このような現象は民営化のひずみと見ることもできる。

 しかし、空港に関わる事業が、公共性の高いものであることは間違いない。本案件は、われわれが運輸事業の安全性を考える指標の一つになるのではあるまいか。

 事件は第16民事部合議1係の担当で、裁判長は森木田邦裕氏(司法研修所第41期)、裁判官は北岡裕章氏(第55期)および栗坂美穂氏、書記官は河合善信氏。ハイドラント側の弁護士は根岸隆氏と吉田雄策氏、新関西国際空港側の弁護士は山形康郎氏、植村淳子氏、大江哲平氏が務めている。

  次回の弁論準備期日は10月30日。被告の反論が展開される。【了】

 フリーライター 井上 聡/いのうえ・さとし。1983年生まれ、福岡県出身。京都大学大学院在学中。専攻は美学・国文学。趣味は加茂川沿いをランニング。

「新関西国際空港に、給油会社が他社の給油行為を禁止するよう要求」(http://www.sakurafinancialnews.com/news/9999/20140801_2)

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