徴兵制で「解釈に変更の余地ない」と安倍総理

2014年10月1日 17:21

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記事提供元:エコノミックニュース

 安倍晋三総理は30日の衆院本会議で安全保障について、自民党の谷垣禎一幹事長の質問に答え、「我が国をめぐる安全保障環境は一層厳しさを増している。もはや、どの国も一国のみで平和を守ることはできない。7月1日の(集団的自衛権行使を認定する基本方針の)閣議決定は、こうした大きな情勢の変化を踏まえて行ったもので、いかなる事態でも国民の命と平和な暮らしを守り抜く、地域や国際社会の安定に積極的に貢献していくことを可能にするものだ」と強調した。

 安倍総理は「自衛の措置をとる場合であっても、他に手段がない場合に限られ、かつ、必要最小限度でなければならない。憲法解釈の基本的考え方はこれまでと何ら変わるものではない」とした。

 安倍総理は「海外派兵は許されないとする従来からの原則も全く変わらない。自衛隊がかつての湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことは、これからも決してありません」と答弁した。

 安倍総理は「他国の防衛、それ自体を目的とする集団的自衛権の行使を認めるものでもない」とし「外国を守るために日本が戦争に巻き込まれることは決してありません」と説明した。また「徴兵制につながるという議論は全く根拠のないもの」とした。

 安倍総理は「徴兵制は憲法上、許されるものではなく、この解釈に変更の余地はない」とした。そして「国民に理解を得られるよう、引き続き丁寧に説明しながら、法整備を進める」と述べた。

 谷垣幹事長は、質問で閣議決定を評価するとしたうえで「新たな閣議決定については集団的自衛権の言葉だけが先行し、国民の間には、戦後、平和国家としての道を一貫して歩んできたわが国が、その方向を大きく変えるのではないか、といった誤解や漠然とした不安があることも否定できない」と国民の理解を得られていない状況をあげた。

 そのうえで「閣議決定の柱は、第一に、離島等で武装集団の上陸があった場合や米軍部隊の武器等防護など武力攻撃に至らない侵害への対処、第二に、わが国による他国軍隊への支援活動やPKOでの任務遂行やいわゆる駆け付け警護に伴う武器使用、並びに在外邦人救出等における領域国の同意に基づく警察的活動の実施。第三に、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において、これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないときに、必要最小限度の実力を行使するという内容であり、非常に厳しい歯止めがかかっている。およそ平和国家としてのわが国の性格を変えるようなものではあり得ない。にもかかわらず、こうした点も十分に国民に理解されていないのではないか」とし「より国民に対する丁寧な説明が不可欠。総理の言葉による丁寧な説明を求めたい」と質した。(編集担当:森高龍二)

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