アイ・エス・ビー Research Memo(17):配当性向30%を目標として明示

2014年9月29日 17:51

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記事提供元:フィスコ


*17:52JST アイ・エス・ビー Research Memo(17):配当性向30%を目標として明示

■株主還元

アイ・エス・ビー<9702>は株主還元を重要な経営課題として位置づけており、その具体的手段としては配当によることを第一義的なものとしている。配当の水準については、成長投資への投資余力確保も含めた財務体質の健全性確保と配当性向などを総合的に判断して決定するとしている。このような基本スタンスに立って同社は、連結ベースの当期純利益に対する配当性向30%を配当性向の目標として明示している。

2014年12月期については前期比5円増配の25円の配当を会社予想として開示している。これは、期初予想の1株当たり利益87.46円に対しては28.6%ということになり、目標配当性向30%の水準にほぼ等しい。しかし、同社は5月に負ののれん益を織り込んで1株当たり利益の予想を155.18円に引き上げた。これに対する配当性向は16.1%となる。このあたりを同社が今後どのように考えてくるか、注目される。

現状の同社には一段の増配余力があることは疑いないが、同社にとってこの1株当たり利益の増額はあくまで特別利益によるものである。また、同社には次代の成長のためのシーズが豊富にあり、その研究開発投資など、資金ニーズは旺盛だ。したがって、一段の増配には踏み切らない可能性も否定はできない。仮にそうであったとしても、成長余力の大きい同社としては、配当維持は十分正当化されよう。

同社はまた、発行済み株式総数の約12%を自社株として保有している。これを消却してしまえば株主還元と同様の効果をもたらすことになる。一方で、同社は自社株の消却については慎重に行うとしており、将来起こるかもしれないM&Aの折などに、買収通貨として有効に活用することなども視野に入れているようである。次期中計ではM&Aを活用した成長シナリオが前面に打ち出される可能性もある。したがって、株式消却については当面は中立要因であると弊社では考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)《FA》

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