【アナリスト水田雅展の銘柄分析】サンコーテクノは長期上昇トレンドを継続、今期業績増額の可能性も支援材料で上値追い

2014年9月17日 07:28

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

  アンカー大手のサンコーテクノ <3435> (JQS)の株価は、13年夏起点の長期上昇トレンドを継続している。8月28日に6月高値2921円を突破し、9月1日には2998円まで上伸した。その後は上げ一服の形だが高値圏で堅調に推移している。今期(15年3月期)業績見通し増額の可能性も支援材料であり、上値追いの展開だろう。

  ファスニング事業(あと施工アンカー、アンカー打込み機など)、リニューアル事業(FRPシート、太陽光発電関連など)、センサー事業(電子基板関連試験機、アルコール測定器など)を展開している。あと施工アンカーはコンクリート用の特殊ネジ・釘類のことであり、当社はあと施工アンカーおよびオールアンカーの最大手である。

  あと施工アンカー、アンカー打込み機、FRPシートなどは震災復興関連、都市再開発関連、耐震補強関連、老朽化インフラ補修・更新関連など建設工事の増加が追い風であり、太陽光発電関連商材はメガソーラーや太陽光発電付き住宅の増加が追い風である。中期的に事業環境は良好だ。

  9月9日には大林組 <1802> と、樹脂接着系あと施工アンカーのリニューアル技術を共同開発したと発表した。あと施工アンカーを更新する場合に、アンカー孔を傷つけることなく既設アンカーを撤去し、同じ位置に新設のあと施工アンカーを設置することが可能となり、孔の開け直しに伴う施工の手間や躯体損傷のリスクを無くし、より効率的で信頼性の高い工法を実現したとしている。

  今期(15年3月期)の連結業績見通しは前回予想(5月14日公表)を据え置いて、売上高が前期比4.6%増の180億円、営業利益が同0.4%増の15億20百万円、経常利益が同0.5%増の14億80百万円、純利益が同4.4%増の9億50百万円、配当予想が前期から記念配当5円を落として年間25円(期末一括)としている。

  セグメント別計画(内部取引・全社費用等調整前)を見ると、ファスニング事業は売上高が同5.1%増の137億57百万円、営業利益が同4.7%増の11億76百万円、リニューアル事業は売上高が同2.6%増の37億円、営業利益が同11.7%減の3億18百万円、そしてセンサー事業は売上高が同16.7%増の7億56百万円、営業利益が同17.4%増の27百万円としている。

  ファスニング事業は、都市圏を中心とする再開発・耐震化工事、社会インフラ維持・補修工事の増加などを追い風として、金属系・接着系あと施工アンカー、ドリルなどの施工関連ツール、引張確認試験機、電動油圧工具などが好調に推移する。リニューアル事業ではメガソーラー・ハウスメーカー向け太陽光発電関連工事・商材、センサー事業では電子基板関連試験機が好調だ。

  需要は高水準に推移するが、ゼネコンの工事現場における人手不足の影響、リニューアル事業における工事原価の上昇、50周年記念イベントに伴う販管費の増加、給与水準引き上げに伴う人件費の増加、設備投資の増加などを考慮して、利益は前期比横ばいの計画としている。

  しかし会社見通しには保守的な印象が強い。第1四半期(4月~6月)は、あと施工アンカーの好調が牽引して前年同期比7.3%増収、同35.5%営業増益、同56.0%経常増益、同81.9%最終増益だった。利益率の高い新商品比率の上昇も寄与して通期業績見通しは増額の可能性が高いだろう。

  建設現場では人手不足の影響が深刻化しているため、現場作業の省力化・機械化に加えて、外国人や女性の活用などで非熟練作業者の増加も予想される。こうした状況も背景として、現場での使いやすさを高めた施工ツール、あと基礎アンカー、アンカー打込み機、紫外線硬化FRPシートといった当社の主力製品の採用が一段と広がりそうだ。事業環境は良好であり、新製品の開発・拡販も寄与して中期的に収益拡大基調だろう。

  株価の動きを見ると、13年夏を起点とする長期上昇トレンドを継続している。8月28日に2925円を付けて6月高値2921円を突破し、9月1日には2998円まで上伸した。その後は上げ一服の形だが、高値圏2800円~2900円近辺で堅調に推移している。好業績を評価する流れに変化はないだろう。

  9月16日の終値2899円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS233円45銭で算出)は12~13倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間25円で算出)は0.9%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1999円86銭で算出)は1.4倍近辺である。週足チャートで見ると13年夏1200円近辺を起点とする上昇トレンドを継続し、足元はサポートラインの13週移動平均線近辺から反発のタイミングだ。今期業績見通し増額の可能性も支援材料であり、上値追いの展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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