累計販売台数10万台突破のマツダ・ディーゼル 注目は今週発表のデミオ1.5リッターディーゼル車

2014年9月10日 09:58

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記事提供元:エコノミックニュース

マツダ急成長の立役者、CX-5やアテンザ、アクセラに搭載するクリーンディーゼル「SKYACTIV-D 2.2」は、日本国内販売だけで10万基を超えた

マツダ急成長の立役者、CX-5やアテンザ、アクセラに搭載するクリーンディーゼル「SKYACTIV-D 2.2」は、日本国内販売だけで10万基を超えた[写真拡大]

 マツダの業績が好調のようだ。2014年3月期は過去最高益を更新し4年ぶりに復配に転じた。低燃費のディーゼルエンジン搭載車を発表し、クロスオーバーSUVのCX-5など存在感あるクルマが注目された結果だ。米フォードがマツダ株の大半を売却した2010年以降、「スカイアクティブ・テクノロジー」と呼ぶエンジン/プラットホームなどクルマそのもののメカ刷新と、効率生産を追求した生産技術「モノ造り革新」で、自主独力で回復軌道に乗せた。

 これまで、マツダ車に対するブランドイメージは、中高年層と30代までの若年層で大きな違いがある。中高年層は「中古車の価格下落が大きく、一度マツダ車を買うと下取り価格の差で、他社に乗り換えられない“マツダ地獄”にはまる」という人が少なくない。しかし、若年層は「走りに特徴がありデザインがカッコいい」と好印象を持つ人が多い。これは米国でも同じで、30歳代の高学歴、高収入の男性ユーザーの支持が集まっている。

 そのわけは、フォード経営の下で、抜本的な選択と集中を実施しデザイン性を統一強化、ブランドイメージ改善に特化するマーケティング戦略が奏功しているからだ。

 マツダは生産技術には定評のあるメーカーだ。が、マーケティングや販売力に弱点があるとされてきた。しかし、バブル期に国内5チャンネルと多車種展開の拡大路線に走ってしまった。ラインアップが不足するマツダは販売台数を支えるために安売りに走るという悪循環で財務体質は大きく悪化、経営危機を招いた。当時、マツダ車を買って“しまった”中高年層は、この悪循環に巻き込まれたわけだ。

 1996年に米フォード傘下に入ったマツダは、フォードから派遣されたヘンリー・ウォレス氏、マーク・フィールズ(現フォードCEO)社長の指揮のもと選択と集中を徹底。経営資源を投入する車種を絞り込んだ。フォード傘下を離脱した現在でも、その経営方針は一貫しているように思える。

 マツダは2011年度に打ち出す中期経営計画で「モノ造り革新」と「SKYACTIV」と名付けた独自のパワートレーン開発を打ち出す。他社と競合するハイブリッド車や電気自動車開発に走らずに、自動車会社としてベース技術である内燃機関の改良に専念、愉しい走りと燃費性能の両立を目指したわけだ。

 そして、2014年9月、マツダは新世代ディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 2.2」搭載車の国内販売台数が、2012年2月の「マツダ CX-5」導入以降2年7カ月で、累計10万325台となり、10万台を達成したことを発表した。「SKYACTIV-D」は、乗用車用量産ディーゼルエンジンとして世界一の低圧縮比14.0とすることで、低速から高速までスムーズでリニアなレスポンスと、低速域の大幅なトルク向上の実現。同時に、高価なNOx後処理装置を非装着としながら、日本や欧州のグローバルな排出ガス規制をクリアした新世代クリーンディーゼルエンジンだ。

 一般的にディーゼルエンジンはガソリンエンジンと比較し燃費がよく、燃料コストに優れることが知られている。加えて、近年は大トルクによる走りのよさも注目を集めている。マツダは、このクリーンディーゼルにいち早く着目し、「SKYACTIV-D」の開発・普及に取り組み、クルマを操る楽しさと優れた環境性能を提供。「CX-5」発売以降、2012年11月の新型「アテンザ」、2014年1月の新型「アクセラ」の導入で、同社の国内のディーゼル乗用車は2011年の約9000台から、2013年の約7万5000台へと拡大した。

 そして、まもなく発売する小型1.5リッター・ディーゼルエンジン搭載の小型車「デミオ」で集大成を迎える。国内自動車メーカーの小型車では唯一、燃費性能に優れたディーゼルエンジンを搭載し、価格も200万円を切るというこのクルマは「マツダらしさ」を象徴するモデルとして注目を集めるのは間違いない。(編集担当:吉田恒)

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