ルネサスの4~6月期、6年ぶりに黒字

2014年8月8日 09:36

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記事提供元:エコノミックニュース

 人員削減や工場の統廃合などの構造改革の効果が表れた結果か、ルネサスエレクトロニクス<6723>が6日に発表した2014年4~6月期の連結決算によれば、売上高は前年同期比5.1%アップの2092億円、営業利益は前年同期の約2.8倍の269億円、そして最終損益は前年同期の39億円赤字に対して211億円の黒字に転じたことがわかった。

 こうして4~6月期が黒字となるのは、6年ぶりのことである。車載や産業機器向けの半導体の販売が順調に推移したこと、また人員削減や工場の統廃合などの構造改革も効果を及ぼしたとみられている。

 ルネサスエレクトロニクスの注力事業である半導体事業の売上高は、前年同期比6.1%アップの2012億円で、前の期と比べても4.9%アップした。そして半導体事業のうち、自動車分野における売上高は前年同期比10.0%アップの798億円であった。また産業機器・家電などの汎用分野の売上高は前年同期比4.0%アップの1198億円であった。

 また14年4~9月期の業績予想については、売上高は前年同期比0.9%ダウンの4130億円、営業利益は前年同期の2.2倍の46億円、当期純損益は前年同期の128億円赤字に対して280億円の黒字と予想している。

 こうして黒字転換をはたしたルネサスエレクトロニクスではあるが、しかしその経営状態をしっかりとした軌道に乗せるためには、まだまだ課題が多いことも事実である。半導体事業は順調に推移しているものの、まだまだ改善傾向のみられない事業分野もある。また構造改革の一環として行った人員削減により、販売の取り逃しや開発力の低下などの事態を招いているという。こうした問題点をクリアしないことには、ルネサスエレクトロニクスの道行きに明るい未来が待っていると言うことはできない。そういう意味で今回の黒字転換という結果は、再建へと続く長い道のりの第一歩であると考えるべきだろう。

 ルネサスエレクトロニクスは10年4月、NEC<6701>の子会社と日立製作所<6501>と三菱電機<6503>の事業統合会社が合併して発足した。その後、固定費の負担などにより一時的に経営が危機的状況に陥るも、産業革新機構などの出資を受け、人員削減、工場の統廃合などの構造改革を進めることで、13年3月期末には年間の固定費を2000億円程度減少させた。(編集担当:滝川幸平)

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