産総研、納豆菌が作り出す環状ペプチドによって合成界面活性剤の使用量を大幅低減

2014年8月1日 14:41

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サーファクチン(左)と合成界面活性剤(右)(産業技術総合研究所の発表資料より)

サーファクチン(左)と合成界面活性剤(右)(産業技術総合研究所の発表資料より)[写真拡大]

  • サーファクチンによる直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの使用量低減効果を示す図(産業技術総合研究所の発表資料より)

 産業技術総合研究所と株式会社カネカによる共同研究グループは、納豆菌が作り出す環状ペプチド(サーファクチン)によって、合成界面活性剤の使用量を大幅に低減できることを明らかにした。

 合成界面活性剤は、年間およそ100万トンも生産されており、環境への影響が懸念されている。

 今回の研究では、洗剤の主成分である直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムにサーファクチンを1%添加したところ、水溶液中で生成されるミセルの形成濃度が10分の1にまで低減されることが分かった。これは、合成界面活性剤の使用量を10分の1に減らしても同等以上の界面活性効果を得られることを意味している。さらに、サーファクチンを10%添加すれば、合成界面活性剤の使用量は100分の1にまで減らせることも明らかになった。

 今後は、サーファクチンのさらなる研究を進めていくことで、油由来からバイオ由来の化学品への転換、バイオ由来の化学品の製造・利用促進が実現できると期待されている。

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