ソニーとカナダ電力会社が系統用大規模蓄電システム開発で合弁会社

2014年6月3日 20:56

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 ソニーは3日、カナダ最大の電力会社、ハイドロ・ケベック社と合弁で、電力系統用大規模蓄電システムの研究・開発会社を設立したと発表した。新会社は「エスタリオン・テクノロジーズ」の社名で、5月14日に設立、6月2日に発足した。カナダ・ケベック州ヴァレンヌ市に本社を置き、社長にはハイドロ・ケベック社テクノロジー部門の副社長エリー サヒブ氏が就任した。

 新会社名の「エスタリオン」は「リチウムイオン電池の技術を使用した電力系統用蓄電システム」という意味を込めた造語である。新会社は、ソニーの有する安全性・信頼性の高いオリビン型リン酸鉄リチウムイオン二次電池と、拡張性の高い蓄電モジュール・システムの制御技術、及びハイドロ・ケベック社の有する電力系統用の運用・制御技術、リチウムイオン電池材料技術をそれぞれ活用して、大規模な蓄電システムや電池材料技術の研究・開発を進める。また、変電所におけるピーク対策や再生可能エネルギーの系統連系など、拡大するさまざまな用途への有効性の検証も行うことにしている。

 ソニーは1991年に世界で初めてリチウムイオン二次電池を商品化して以来、エネルギー効率やエネルギー密度に優れたリチウムイオン二次電池の技術開発を行ってきた。2009年には、正極材料にオリビン型リン酸鉄リチウムを使用した、高出力・長寿命のリチウムイオン二次電池の商品化に成功し、蓄電分野に進出している。

 一方、ハイドロ・ケベック社は、発電、送電、配電事業を手がけるカナダ最大の電力会社であり、世界有数の水力発電会社の一つである。株主はケベック州政府。同社は、蓄電などを含むエネルギー関連の研究開発に力を入れ、毎年1億ドルの研究投資を行っている。(記事:南条 誠・記事一覧を見る

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