積水ハウス ユニバーサルデザイン研究ワークショップ 一般の声ものづくりに活かす

2013年10月19日 19:38

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記事提供元:エコノミックニュース

住ムフムラボでは、ユニバーサルデザインの他、様々な暮らし方を見て、ふれて、体験できる

住ムフムラボでは、ユニバーサルデザインの他、様々な暮らし方を見て、ふれて、体験できる[写真拡大]

 日本でも1995年頃から徐々に、「ユニバーサルデザイン」という概念が、商品やサービスに取り入れられるようになった。たとえば、「車づくりにおけるユニバーサルデザインの追究」をテーマに開発された、トヨタ自動車<7203>の「ラウム」や、座った状態で簡単に全身シャワーができて身体への負担も少ない、パナソニック<6752>の「座シャワー」、そしてこの夏には、あの高野山でも導入されて話題となった、ダイソンの羽根のない扇風機「エアマルチプライアー」シリーズなど、様々な分野でユニバーサルデザインを意識した商品が登場している。

 しかしながら、呼称は浸透しつつあっても、ユニバーサルデザインの本質に対する認識はどこまで明確に理解されているかといえば、少々疑問が残る。

 そんなユニバーサルデザインの考え方を早くから商品に取り入れ、家づくりに活用してきた積水ハウス<1928>が、グランフロント大阪で同社が展開する体験型施設「住ムフムラボ」内で、ユニバーサルデザインに対する面白い試みを行っている。

 住ムフムラボでは、10月17日(木)から22日(火)までの6日間をユニバーサルデザイン・ウイークとし、企画展示のほか、キーワードラリー、研究ワークショップ、住むコト講座「明日から使えるUDの話」など、専門家の話を聞くだけでなく、最新の住宅向けユニバーサルデザインを実際に見て、ふれて、体験できる。

 厚生労働省が行った平成22年度の人口能動統計調査によると、日本国内での自動車事故の死亡者が7,222人であったのに対し、住宅内の事故で亡くなった人は14,249人と、およそ倍。しかも、風呂場での溺死や、何でもないような場所での転倒が大多数を占めるという。これをみると、現在の住宅はまだまだ住民、とくに高齢者や子供に優しいものとは言えなさそうだ。

 そこで、積水ハウスでは以前から、たとえば階段など「家の中で一本足になるところ」には、手すりを設置するようにしているが、その手すりの角度を変えたり、滑りにくいように持ち手を波打たせたり、細かな工夫を施している。また、勢いよく閉めて指を挟んでしまわないように、引き戸のレール部分にスプリングを仕込み、どんなに強く閉めようとしても直前でスピードダウンするような仕掛けも、住まいの優れたユニバーサルデザインのひとつだ。

 さらに同社では、安全、快適なユニバーサルデザインをさらに進化させるキーワードとして「居心地の良さ」を挙げており、住む人、住む世代によって「使いたい」と思える商品の開発に取り組んでいる。そういう意味でも、従来の住宅展示場ではなく、体験型施設であり同社の研究施設でもある「住ムフムラボ」で、このようなイベントが行われているのは興味深い。実は、研究ワークショップの参加者は、住宅購入予定者や同社の顧客だけではなく、他社の一戸建てやマンションをすでに取得している人もいる。そのような人たちから広く生の意見を聞き、次の製品開発に役立てるのも、同施設の大きな役割なのだ。もちろん「今まで家に暮らしを合わせてきたけれど、私たちの暮らしに家を合わせるという考え方が、当たり前だけど斬新だった」「居心地の良さも、ユニバーサルデザインなんだと納得した」など、参加者にも好評だ。

 家を購入する、しないに関わらず、暮らしの楽しみ方や居心地を見直す機会の一つとして、立ち寄ってみるといいかもしれない。(編集担当:藤原伊織)

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