【話題】異次元政策で高まるバブル到来説

2013年4月20日 16:49

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■トヨタ自動車と新日鉄住金株価でみる大型相場への対応

  マーケットでは、今度の「異次元金融政策」によって、「いずれバブルになる」との見方が囁かれ始めている。「バブル」といわれると、1989年の日経平均3万8915円を思い出す。痛い目に遭った思いと、一方ではそこまで行くのなら、現在の1万3000円台水準から3倍の上値余地があるとの期待も膨らむところではある。

  バブルになるかならないかは置いておいて、「異次元」といわれるほどだから、先ずは、強気に賭けてみるところだろう。気になるのは、個別銘柄で何が有望かということだろう。そこで、バブル銘柄の象徴的存在の新日鉄住金 <5401> (東1・売買単位1000株)と、トヨタ自動車 <7203> (東1・バイバイ単位100株)との株価対比でみてみよう。新日鉄は1998年のバブル天井では984円の高値があり、その後、北京オリンピック・上海万博特需で2007年に964円の二番天井をつけ、2012年に143円まで下げた。足元では291円(2月6日)まで戻している状況。

  一方のトヨタ自動車はバブル当時1988年に3030円の高値があり、2007年には8750円と1988年水準を大きく上回っている。2011年に2330円まで下げ、現在は高値5670円(4月11日)と買われている。

  比べてみると、トヨタ自動車がバブル当時も2007年高値のときも新日鉄より大体6ヶ月ていど早く天井を打っている。底値も同様にトヨタ自動車の方が早いという特徴がみられる。このことから言えることは、トヨタ自動車の上値が重くなって天井形成となるようなら6ヶ月ていど遅れて新日鉄が高値をつけるといえる。トヨタの株価を先行指標としてみておくことがポイントといえる。

  現在の位置を確認しておこう。トヨタ自動車は史上最高値8350円に対しほぼ7合目水準で、これに対し新日鉄は最高値964円に対しまだ3合目にすぎない。明らかに新日鉄の出遅れが目立つ。このため、これからは、トヨタ自動車の上昇スピードより新日鉄の上げが速く大きくなる可能性がある。仮に、最高値964円の対しトヨタと同じ7合目水準が見込めるとすれば675円円も見込める計算だ。足元では新日鉄の出遅れ見直し場面が近そうである。

  もちろん、トヨタ自動車が最高値8350円を更新して1万円の可能性もある。それは、アベノミクス効果によって、トヨタの1株利益が2014年3月期及び2015年3月期と大きく向上し500円期待となったときだろう。当然、トヨタが上がれば引っ張られて新日鉄も最高値964円挑戦も期待されるはずである。

  ただ、「物価2%の目処がつけば政府はバブル懸念を払拭する政策に変わる可能性もある」(中堅証券)。そのときは最高値目標は難しくなるだろう。いずれにしてもマーケットでは、バブルの有無は別としても異次元政策という国策は、これまでと違うことを感じている。個人投資家としてはトヨタ自動車と新日鉄住金を指標的銘柄としてウオッチしておけば1989~89年のときのような痛い目には遭わずにすむのではなかろうか。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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