ミスミ、米金型部品メーカー最大手などを総額約156億円で買収

2012年10月17日 11:37

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 ミスミグループ本社は17日、米金型部品メーカー大手のDayton Progress Corporationの全株式、ならびにThe Anchor Danly Company(AD社)のComponents事業の経営権を総額約2億ドル(約156億円)にて取得し、両社を買収すると発表した。今回、両社の所有者であるプライベート・エクイティ・ファンドConnell Limited Partnership of Bostonと買収契約を締結した。

 買収資金は全額手元資金で賄う予定。今後、米国での法定手続きなど買収に必要な手続きを経た上、2013年3月期第3四半期(10-12月期)中に買収を完了する予定。

 Dayton社は創立1946年、AD Components事業は創業1922年と長い歴史を持つ欧米市場における金型部品製造のリーディングメーカー。部品標準化と半製品を活用した生産方式により、ミスミと極めて親和性の高い短納期生産を実践し、高い技術力と顧客サービス体制、欧米における強力な顧客基盤を持っている。

 ミスミグループは、精密機械部品を標準化することによって、たとえ部品一個からでも「高品質(Quality)、低コスト(Cost)、短納期(Time)」で顧客に届ける「短納期一個流し」のミスミQCTモデルを日本において確立してきた。2002年の新体制以降本格的な海外展開を図り、2004年には駿河精機を買収し、メーカー機能を持つことで国際展開を加速してきた。この結果、過去10年間で海外売上高は約8倍に拡大し、海外売上高比率は8.6%から27.5%へと伸張することができた。

 今回の買収の最大の狙いは、このミスミQCTモデルの世界展開を加速することにある。ミスミグループは既に、日本と中国・アジアを中心にミスミQCTモデルを確立し、短納期供給体制を構築してきたが、欧米にて短納期生産を実現するDayton社とAD Components事業を買収することにより、グローバル短納期供給体制を一気に確立し、国際事業展開を加速させる。

 加えて、Dayton社とAD Components事業は金型部品メーカーとして北米自動車ビッグ3や欧州自動車メーカーなどの強力な顧客基盤を持っており、この基盤に対して金型事業のみならず自動化(FA)事業を合わせたミスミブランドを浸透させることで販売拡大を狙う。

 また、金型部品事業において日本を含めたアジアで大きな市場シェアを持つミスミグループが、欧米において既に高い市場シェアを持つDayton社とAD Components事業を買収することにより、金型部品における「グローバル・トップワン・サプライヤー」のポジションは確固たるものとなる。同社によると、金型部品におけるグローバル・マーケットシェアは買収前の12%から20%に向上し、2位メーカーのシェアを2倍以上に引き離し、首位固めを狙う。

 さらに、取扱商品の規格で補完関係にある商品を双方のチャネルで販売する効果や、材料調達や生産量のスケールメリットによるコスト競争力強化など、様々な面でのシナジー効果を発揮することが可能。

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