「JASDAQ-TOP20」構成銘柄に1年7カ月ぶりのハプニング期待も=浅妻昭治

2012年5月7日 13:22

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

前の前の前の前のバブル相場のときである。日経平均株価が、5359円で大天井を打ったあの過剰流動性相場当時である。

前の前の前の前のバブル相場のときである。日経平均株価が、5359円で大天井を打ったあの過剰流動性相場当時である。[写真拡大]

【浅妻昭治(株式評論家・日本インタビュ新聞社記者)のマーケット・センサー】

  前の前の前の前のバブル相場のときである。日経平均株価が、5359円で大天井を打ったあの過剰流動性相場当時である。基準価格が、倍にも急騰する好パフォーマンスを演じて市場関係者を驚かせた投資信託があった。主力の優良株投信でもなく、値動きの軽い小型株投信でもなく、「動かざること山のごとし」とみられていた大型株投信であった。列島改造ブームに沸いて新日本製鐵 <5401> などの大型株が、例のシナリオ営業に乗って商いを伴って大きく買い上げられたことが背景で、まさにバブル相場を象徴するハプニングとなった。

  この大型株投信のように、思わぬ追い風で想定外の好パフォーマンスを演じる株式やセクターが飛び出すハプニングの例は、枚挙の暇がない。近くは、今年2月に東証第2部総合株価指数が過去最長の連騰記録を更新したのもこの一例である。東証1部の主力株の上値が重くなって、「中二階」といわれて地味で万年割安に放置されている2部市場に個人投資家を中心に資金が流入、にわかに表舞台に引っ張り出されて脚光を浴びる展開となった。

  そして現在、この2月の東証2部株価指数の再現が観測されているのが、ジャスダック市場である。日経ジャスダック平均株価は、連休中の2日に年初来高値をつけた。ジャスダック株価指数も、年初来安値から13.5%も値上がりしていて、日経平均株価の上昇率12.3%や東証2部総合指数の12.7%をアウト・パフォームしている。相場環境も、2月と酷似していて主力株が、再度の円高進行などから展開難とっており、今度は、ジャスダック銘柄の出番かと期待を高めている。とくに連休中のNYダウが続落し、4日は168ドル安と急続落したことも、ハプニング発生の思惑を強めそうだ。

  もしこのままジャスダック銘柄が本格相場入りするようなら、関連して先回りして注目したいのが、株価指数「JASDAQ-TOP20」の構成銘柄である。ジャスダック市場の主力20銘柄で構成され、この指数の配信が開始された1年7カ月前の2010年10月には、関連の上場型投信(ETF)の新規上場が計画されていたことも加わり高人気となり、指数の初値の1370.55ポイントが、最高値1848.35ポイントまで急伸した。ただ、今年1月には上場来安値1109.11ポイントまで大きく調整、足元も1200ポイント台にとどまっている。構成銘柄のなかには、株価が、スタート時の半値以下となっている銘柄も少なくなく、これが、指数の戻りに鈍さにつながっている。

  それでも、同指数にはなお株価を押し上げる需給好転思惑は、失われていない。同指数の構成銘柄は、東証1部への上場、ジャスダック市場の上場廃止で入れ替えが繰り返されており、第一精工 <6640> とセブン銀行 <8410> が除外され、代わってクルーズ <2138> (JQS)とメッセージ <2400> (JQS)が新規採用された。このうちメッセージは、今年3月29日から同指数に算入されたが、株価は、これも材料に連休中に年初来高値まで買い進まれた。「TOP-20」が、同社株の需給好転要因として機能していることを示唆してくれているわけだ。

  こうなると、ETFそのものか、構成銘柄の20銘柄かにアプローチするのが有望は投資スタンスとなるが、よりパフォーマンスを向上させるにはさらに一捻りの工夫をしたい。いろいろスクリーニングすると20銘柄から厳選有望7銘柄が浮上することになる。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

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