戦時中のソ連を舞台にした小説から…「食料品」セクター=田北知見の銘柄ウオッチ

2011年12月30日 16:33

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

デイヴィッド・ベニオフ(田口俊樹 訳)の小説『卵をめぐる祖父の戦争』を読んでいる。まだ途中までしか読んでいないのだが、面白いし、泣ける小説でもある。舞台は戦時中、ナチスドイツの侵攻・包囲下にある、ソ連のレニングラードだ。

デイヴィッド・ベニオフ(田口俊樹 訳)の小説『卵をめぐる祖父の戦争』を読んでいる。まだ途中までしか読んでいないのだが、面白いし、泣ける小説でもある。舞台は戦時中、ナチスドイツの侵攻・包囲下にある、ソ連のレニングラードだ。[写真拡大]

(株式ジャーナリスト:田北知見の銘柄ウオッチ)

  デイヴィッド・ベニオフ(田口俊樹 訳)の小説『卵をめぐる祖父の戦争』を読んでいる。まだ途中までしか読んでいないのだが、面白いし、泣ける小説でもある。舞台は戦時中、ナチスドイツの侵攻・包囲下にある、ソ連のレニングラードだ。主人公というか語り手は、ユダヤ系ロシア人の17歳の少年。彼が後年、孫に当時の回想を語るという形で物語は進んでいく。

  敵の包囲網のせいで、市内は食べ物も燃料も物資も、何もかも不足している。日本も戦時中(と戦後しばらく)は同様の状態だったので、そうした話はたくさん読んだことがあるが、…このレニングラードの話は、人肉食や略奪を主人公が見てしまうシーンなどもあり、かなりキツい。回想(語り)が始まって最初の7行を読んだだけで、涙が出てきた。少しだけ引用すると、「あんなにひもじかったことも、あんなに寒かったこともない。(中略)実際、1941年の6月にドイツ軍が侵攻してくるまで、わしらは自分たちのことを貧乏だと思っていた。それが冬になる頃には、6月がもう楽園みたいに思えたもんだ。」

  そして、ロシアの寒さ。読んでいるだけで、骨の髄まで冷えびえとしてくる。しかし、物語じたいはどこか明るく、前向きさを感じさせる。主人公の相棒役の青年が明朗だからだろうか。でも、たぶん結末は…(涙)。

  充分に食べ物のある現代の日本に生まれたことへ感謝しつつ、食料品セクターの銘柄を見てみた。

★ロック・フィールド <2910> (東1)

  サラダ主体の惣菜店『RF1』や『神戸コロッケ』を展開している、ロック・フィールド <2910> (東1)を入れる。12月30日終値は9円安の1279円。単位100株。PERは約12.9倍、PBRは約0.8倍となっている。チャートは6月8日につけた直近安値1154円から反発し、以降は凸凹しながらも下値抵抗線を切り上げてきている。このままジリ高トレンド維持で、9月30日につけた直近高値1320円上抜けを目指す。

  業績は好調。今期2012年4月通期業績予想は、売上高は前年比8.1%増の500億8600万円、営業・経常・純利益は同2割内外の増益を見込んでいる。『会社四季報』には、次期2013年4月期も増収増益との予想値が出ている。また、今期末配当金は記念配10円を含んで32円の予想。現在の株価で利回り約2.5%の計算となる。大口株主には、岩田弘三社長のほか、自社取引先持株会、自社社員持株会、生保、地銀、信託口などが並んでおり、堅そうな印象だ。

★ジャパンフーズ <2599> (東1)

  飲料受託生産の最大手で、水宅配事業なども行なっている、ジャパンフーズ <2599> (東1)を入れる。12月30日終値は前日終値と変わらずの770円。単位100株。PERは約6.2倍、PBRは約0.6倍と割安水準にある。チャートは7月29日につけた直近高値845円から反落し、モミ合いながらも続落トレンドで来ていたが、11月15日と同17日につけた直近安値740円で底を打ったもよう。このままリバウンドトレンド維持で、ここ半年ほどの高値フシ850円ラインを目指す。

  業績は堅調。期中に品質不良品の廃棄にともなう損失、固定資産の減損損失、投資有価証券評価損を特損計上したものの、震災特需もあって、現在のところ、今期2012年3月期業績予想は前年比増収増益との予想を変更していない。大口株主には伊藤忠商事、東洋製罐、アサヒ飲料や、信託口、自社従業員持株会、地銀などが並んでおり、こちらも堅そうな印象で、買い安心感を感じさせる。(執筆者:田北知見 株式ジャーナリスト・日本インタビュ新聞社IR記者)

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