【相場展望】過度な警戒感は後退して反発局面の可能性、日米主要企業の業績に関心

2011年10月16日 12:28

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

【株式市場フューチャー:10月17日~21日の株式市場見通し】

■日米主要企業の業績動向が注目点

  来週(10月17日~21日)の日本株式市場では、海外要因に神経質な展開に変化はないが、ユーロ危機拡大を阻止するための包括的な対策に対する期待感が高まっているだけに、全体としては過度な警戒感が後退して反発局面となる可能性があるだろう。また米主要企業の7~9月期決算発表が本格化し、日本でも週末から主要企業の決算発表が始まるため、日米主要企業の業績動向が注目点となるだろう。

  前週の日本株式市場(11日~14日)では、日経平均株価(225種)、TOPIXとも2週ぶりに上昇に転じ、日経平均株価は13日の終値で9月16日以来、約1カ月ぶりに8800円台を回復する場面があった。引き続き海外要因に神経質な展開だったが、ギリシャのデフォルト(債務不履行)懸念やユーロ圏の金融システム不安に関して、危機回避に対する期待感で欧州や米国の株式市場が上昇した。この流れを受けて、日本の株式市場でも警戒感がやや和らぐ形となった。

  ユーロ圏に関する動きを整理すると、9日の独仏首脳会談で、EU域内金融機関に対する資本増強計画を11月3日のG20首脳会議までにまとめることで合意し、ギリシャ債務問題を含めてユーロ安定に向けた包括的な対策を提案する考えも表明した。11日には、仏・ベルギー系銀行デクシアの救済が決まり、トロイカ合同調査団がギリシャに対する80億ユーロの次回融資実行で合意したと発表した。12日にはバローゾ欧州委員長がEU域内銀行の自己資本比率の大幅引き上げを求める方針を示し、13日にはスロバキア議会がEFSF機能拡充案を可決して加盟各国の承認が完了した。

  そして前週末14日の米国株式市場では、ダウ工業株30種平均株価が前日比166ドル36セント(1.45%)高と反発した。終値は1万1644ドル49セントで、8月3日(1万1896ドル44セント)以来、約2カ月半ぶりの高値水準に回復した。S&P500株価指数も反発し、ナスダック総合株価指数は5営業日続伸した。米10月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値は57.5となり、前月の59.4から悪化して市場予想も下回ったが、米グーグルが前日大引け後に発表した7~9月期決算が好調だったことや、米9月小売売上高が前月比1.1%増加となり市場予想を上回ったことも好感した。さらにユーロ圏のソブリンリスクに関して、14日~15日のG20財務相・中央銀行総裁会議や23日のEU首脳会議で、ユーロ危機拡大を阻止するための包括的対策が進展するとの期待感も高まった。

  こうした流れを受けて、週初17日の日本株式市場は買い先行で堅調なスタートが想定される。為替に関しても前週末14日の海外市場では1ドル=77円台、1ユーロ=107円台とやや円安水準で終了している。円高一服感を強めていることも支援材料となり、輸出関連企業の買い戻しにつながるだろう。

  その後は、主要企業の業績動向に関心が移りそうだ。来週は米国主要企業の7~9月期決算発表が本格化し、日本でも週末から主要企業の7~9月期決算発表が始まる。米グーグルが13日の大引け後に発表した7~9月期決算は、売上高と純利益ともに過去最高となり、14日の米国株式市場を押し上げる要因となっただけに、市場の関心が主要企業の業績動向に移り、好業績銘柄の個別物色が強まる可能性が高いだろう。

  テクニカル面で見ると、前週末14日時点で日経平均株価の25日移動平均線に対する乖離率はプラス1.19%となり、目先の上値抵抗線を突破した形となった。短期的にはトレンド好転の期待が高まり、次のメドは75日移動平均線(14日時点で9191円70銭)となるだろう。需給面では、外国人投資家の売り越し基調に変化の兆しが見えるかがポイントになるだろう。

■注目スケジュール

  来週の注目スケジュールとしては、国内では、17日の8月鉱工業生産確報値、20日の8月景気動向指数改定値、などがあるだろう。

  海外では、14日のG20財務相・中央銀行総裁会議(~15日)、17日の米9月鉱工業生産、米10月ニューヨーク州連銀製造業業況指数、ラッカー米リッチモンド地区連銀総裁の講演、18日の中国9月鉱工業生産、中国9月小売売上高、中国第3四半期GDP、中国1~9月固定資産投資、英9月消費者物価指数、キング英中銀総裁の講演、独10月景気期待指数、米9月卸売物価指数、米10月住宅建設業者指数、米週間チェーンストア売上高、米週間レッドブック大規模小売店売上高、バーナンキ米FRB議長の講演、エバンズ米シカゴ地区連銀総裁の講演、ロックハート米アトランタ地区連銀総裁の講演、ブラジル中銀金融政策会合(~19日)、19日のタイ中銀金利発表、英金融政策委員会10月分の議事録、ノルウェー中銀金利発表、ユーロ圏8月経常収支、米9月消費者物価指数、米9月実質所得、米9月住宅着工件数、米地区連銀経済報告(ベージュブック)、米住宅ローン・借り換え申請指数、ロックハート米アトランタ地区連銀総裁の講演、ブラジル中銀金融政策会合、20日のフィリピン中銀理事会、英9月小売売上高、独9月生産者物価指数、ECB理事会、米9月中古住宅販売、米9月景気先行指数(コンファレンス・ボード)、米10月フィラデルフィア地区連銀業況指数、米新規失業保険申請件数、北米9月半導体BBレシオ、ブラード米セントルイス地区連銀総裁の講演、ピアナルト米クリーブランド地区連銀総裁の講演、21日の独IFO業況指数、コチャラコタ米ミネアポリス地区連銀総裁の講演、23日のEU首脳会議、などがあるだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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