東京電力に「水に落ちた犬は叩け」とばかりに情け容赦なく指弾=浅妻昭治

2011年10月11日 13:21

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

10月相場入り早々にまた難題である。ベルギー系金融大手のデクシアが事実上の経営破たんをした。ギリシャ国債を大量に抱えて行き詰まりが懸念されていたこととはいえ、遂にフランス・ベルギー両政府の公的支援を受け入れ、分割・解体されることになった。

10月相場入り早々にまた難題である。ベルギー系金融大手のデクシアが事実上の経営破たんをした。ギリシャ国債を大量に抱えて行き詰まりが懸念されていたこととはいえ、遂にフランス・ベルギー両政府の公的支援を受け入れ、分割・解体されることになった。[写真拡大]

【浅妻昭治(株式評論家・日本インタビュ新聞社記者)のマーケット・センサー】

  10月相場入り早々にまた難題である。ベルギー系金融大手のデクシアが事実上の経営破たんをした。ギリシャ国債を大量に抱えて行き詰まりが懸念されていたこととはいえ、遂にフランス・ベルギー両政府の公的支援を受け入れ、分割・解体されることになった。3年前の「リーマンショック」の再来となって欧州金融危機が、世界的な金融危機として波及するのか、それとも瀬戸際でなんとかコントロールされて一過性のショックに終わって悪材料織り込み済みとなるのか予断を許さない。EU(欧州連合)には、少なくとも25の銀行が公的資金の注入を必要としているとも言われており、マーケットが「水に落ちた犬は叩け」とかさにかかって売り浴びせないことを願うばかりである。

  欧州債務不安ほどのスケールではないが。「水に落ちた犬は叩け」とばかりに情け容赦なく指弾されているのが、原発事故を起こした東京電力 <9501> である。国会の参考人質問に呼び出された同社の西澤俊夫社長は、厳しい詰問に平謝りに謝罪して防戦一方で、10月3日に公表された経営・財務調査委員会の報告書では、5月に同社が公表した今年度の経費削減額5034億円はお手盛りでまだまだ甘く、今後10年間で倍の2兆5000億円のリストラ余地があると手厳しく追求された。

  かつての東電とは、天国と地獄ほどの落差である。経団連銘柄、「01銘柄」の代表格として床の間を背にした上座に座り、円高不況時などでは、鷹揚に構えて設備投資前倒し、円高差益還元などの円高対策の協力に応じ、電線地中化などを相場テーマとして浮上させたことなども数限りあった。それも、10月3日の報告書では、資材調達の高コスト体質が明らかになったなどと切り捨てられると身も蓋もなくなる。

  極め付きは、東京証券取引所が、連休前の7日に公表したTOPIX(東証株価指数)ニューインデックスシリーズの構成銘柄の10月31日付けの定期見直しで、同社株をCore30から除外したことだろう。Core中のCore銘柄が、主役の座から外され、代わってファナック <6954> が新規採用される。時価総額の凋落ぶりからは致し方のないところではある。

  同社の時価総額は、東日本大震災、福島第1原子力発電所の事故が発生した3月11日から上場来安値148円まで急落した6月9日に93%も激減し、連休前7日には3535億円まで回復したが、3月11日に比べてなお10分の1のレベルにとどまる。時価総額ランキングでも、159位まで成り下がり、電力業界でもかつての断トツが、四国電力 <9507> の後塵を拝し、業界7位への急落だ。法的整理、上場廃止を免れただけでも奇貨としなければならない立場だが、マーケットのリアリズムは厳正であるということだろう。

  Core30からの除外の株価への影響は限定的にとどまるというのが、市場関係者の平均的な見方のようである。Core30に連動してインデックス運用しているのが、ヘッジファンドなどの一部投資家に限定されているためとされている。しかし先々、日経平均株価の採用銘柄の見直しなども控えているのである。またまた「水に落ちた犬は叩け」となるのか、官房長官時代から原発事故に関して金融機関の債権放棄や株主責任の追及などに張り切っていた枝野幸男経済産業大臣の政策対応も含めて、東電の株価の不安定要因ではあり続ける。(続きと詳細は「浅妻昭治のマーケットセンサー:メールマガジン」に掲載。果たして注目銘柄は?)(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

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